トキヤ

□4
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4.

だいすきなおとやとずっと一緒にいられる未来を、うたがったことなんて一度もなかった。
幼稚園が終わって小学生になり、中学生が終わって高校生になり、そうぞうもできないくらい大人になっても、きっと一生かわらないまま。
ぼくはおとやの隣で笑いつづける。おとやもぼくの太陽でいてくれる。
ぼくたちはずっと、今のぼくたちのままで、夕日のあたたかい色に満ちた道を歩いていく。
昨日も今日も、そして明日も。


けれどそれは、小学校にあがる前までみることをゆるされた、夢物語。
なめらかにかがやく新しいランドセルを手にした時、昨日までの自分がどれだけしあわせだったのか思いしらされた。
物心がついた頃からあたりまえの顔をしていっしょにいてくれた希望が、くるりとうしろを向いて一瞬でそこなしの絶望にすりかわってしまう。
そんなふうに、この世界が光と闇をじょうずに使いわけるからバランスがとれていることを、ぼくは六つの年でしってしまった。




それは、唐突にやってきた。









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