短編小説
□後先の事を良く考えて行動しましょう。
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適当に買い出しを済ませ、夕食の準備をするために台所に立っていると
「ただいまアル〜」
と神楽が帰ってきた・・・。
おたまを持つ手がピクッとなった。
とりあえず言いたいことは沢山あったが何よりプリンの文句が先だ。
「お前!オレのプリン食っただろ!銀さんどんだけ楽しみにしてたと思ってんだよ!」
振りかえると、案の定神楽は全身ボロボロで、鼻の頭にはご丁寧に泥なんてつけていた…。
…ったく、こいつもやっぱりガキだね。
「名前書いてなかったから分からなかったアルよ〜」
「うわーなにそれ。そうゆうこと言う?キャラ設定考えたら分かるだろ!
お前、素昆布!
俺、甘いモノ!
コレ常識でしょ?ちょっとは空気読めよ」
「そういった枠におさまるはゴメンアル!私は自由に生きるネ!」
「あー。そうゆうとこからブレていくんだよ漫画って…キャラを自由に動かしすぎると、結局何が描きたかったのか分からない漫画になっちゃうんだよ…んで結局は即打ち切りだよ…」
「ある程度安定したら、キャラに幅を持たせることも必要アル!」
俺は神楽といつも通りのやり取りをして、さっきまでのモヤモヤをすっかり忘れていた。
「あー腹へったアルー銀ちゃん今日の夕飯何アルかぁ?」
そう言って神楽は鍋の中を覗き込むように俺に近づいてきた。
一瞬、スッといつもと違う匂いが鼻をかすめた。
コイツじゃない…
男の匂い…
誰のものかはすぐに検討がついた…とゆうか奴以外考えられないだろう。
恐らくコイツの事だ…決着がつくまで奴の隊服を着て、相手が負けを認めるまで返さなかったのだろう。
どうりで今日はご機嫌なはずだ。負けた時はあからさまにムスッとした顔をして帰ってくる。
「銀ちゃん?」
神楽が動く度、違う匂いが鼻を刺激して くる。
何コレ…
なんかスゲームカつく。
「どうしたアルか?」
目の前にいるのは神楽なのに別の女みたい…
スゲー嫌だ。
俺の頭の中で何かがプツンと切れた音がした…。