短編小説
□父親の憂鬱
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最近神楽が変わった…
俺を避けている気がする。
神楽に冗談をフッかけても、前のようなテンポの良い返しが無くなってしまった…
二人きりで居ると、どこかに出掛けてしまったり、押し入れに籠もったり…
そして何だか雰囲気が大人っぽくなった気がする…。
どうした?
何があったんだ?
それはもう、いますぐにでも聞き出したいくらいに気になっていたが、自分の気のせいかもしれない…そう思いたくて、どうしても聞き出せないでいた。
ある日、俺がいつものようにソファで寝ていると、パタパタ神楽が出掛けて行く音が聞こえた。
最近はいつも俺の知らないうちに出掛けて行ってしまうのだ。
薄目を開けてチラッと玄関を見ると、慌てて万事屋を出て行く姿。
ふと、アイツの傘が置き去りになっていることに気付いた。
オイオイ大丈夫かよ…
寒くはなってきたが、日差しはまだ十分に強い。
まだ間に合うかと思い、俺は傘をもって万事屋を飛び出した。
だが、神楽の姿はどこにも無かった。
後ろ姿くらいみえてもいい時間しか経っていなかったと思う。
「どんだけ逃げ足はぇえんだよ…」
どうすっかなぁ…と一旦万事屋に戻ろうとした時…
ふと、嗅いだことのあるヤニの臭い…
俺の頭には1人の男の顔が浮かんでいた…