短編小説

□遅すぎた男の憂鬱
2ページ/2ページ

  

重い足取りで万事屋にもどる

「ただいま〜。わりぃ遅くなった。」


返事はなく、部屋の中は真っ暗だった。

出かけているのか…そう思ってホっとしたが
ソファの上にオレンジ頭がうっすら見えて、また緊張感が走った。



「かぐら〜?」



返事はない。
どうやら寝てしまったようだ。



電気をつけても一向に起きる様子はない。


ふと、ソファの足元に紙が落ちていた
何だコレ…と拾い上げる。

『坂田銀時へ…』


かろうじて読めるくらいの、お世辞にも綺麗とはいえない字。

…間違いなく神楽の字だ。

「何で呼び捨てだよ。」
一応手紙に突っ込む。



どうやらオレ宛の手紙のようだ。




結婚します。お世話になりました…ってか…。



そう思うと先を読みたくない気持ちになった。




それにしても…
神楽に字を教えるのは俺の担当だったが、なかなか上達しないため、教え方が悪いだの、覚える気がないだの、いつも喧嘩になっていたが…

いつの間に漢字なんて覚えたんだ?アイツ…。



ハァ…
大きなため息をつく。

覚悟決めっか…。



そう決心して続きを読み始めた。








つづく…
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ