短編小説
□遅すぎた男の憂鬱
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重い足取りで万事屋にもどる
「ただいま〜。わりぃ遅くなった。」
返事はなく、部屋の中は真っ暗だった。
出かけているのか…そう思ってホっとしたが
ソファの上にオレンジ頭がうっすら見えて、また緊張感が走った。
「かぐら〜?」
返事はない。
どうやら寝てしまったようだ。
電気をつけても一向に起きる様子はない。
ふと、ソファの足元に紙が落ちていた
何だコレ…と拾い上げる。
『坂田銀時へ…』
かろうじて読めるくらいの、お世辞にも綺麗とはいえない字。
…間違いなく神楽の字だ。
「何で呼び捨てだよ。」
一応手紙に突っ込む。
どうやらオレ宛の手紙のようだ。
結婚します。お世話になりました…ってか…。
そう思うと先を読みたくない気持ちになった。
それにしても…
神楽に字を教えるのは俺の担当だったが、なかなか上達しないため、教え方が悪いだの、覚える気がないだの、いつも喧嘩になっていたが…
いつの間に漢字なんて覚えたんだ?アイツ…。
ハァ…
大きなため息をつく。
覚悟決めっか…。
そう決心して続きを読み始めた。
つづく…