短編小説
□瓶底メガネの憂鬱
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坂田銀時へ
最近会話をする機会がめっきり減ってしまいましたがいかがお過ごしですか?
私の気持ちをきちんと伝えたいと思い筆をとらせて頂きました。
最近の私の態度の変化にはお気づきかと思いますが、それにより不快な思いをさせていたら申し訳ありません。
最近の行動は自分自身でも理解し難く、ただただ、本能的にあなたを避けてしまいます。
何が自分をこうさせているのか考えたところ、やはり未熟な自分に対する劣等感によるものだということに気がつきました。
初めのうちは、いつも私を気にかけてくださるあなたの温かさに甘えていた部分もあります。
ただ、最近になって、このままではいけないと、そう思うようになったのです。
ここでの生活は私にとってかけがえのないもので、できることならこの生活がずっと続けばよいと願っております。
しかし、このままではあなた達の負担になってしまうと思うのです。
あなたの足を引っ張るような、そんな存在にはなりたくないのです。
きっと私もあなたの力になれる日が来ると思っています。
神楽
神楽はそこまで書いて、手を止めた。
「読めるようになってきたネ。」
ようやく自分が納得するくらいに仕上げることができ、満足げな表情で書き終えた便箋を眺めた。
神楽の周りには丸まった大量の便箋が無造作に捨てられていた。
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