短編小説
□銀八先生の憂鬱
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事務所に戻ると、神楽は既に目を覚ましていて、ソファに座りながら開いたままの封筒を見て呆然としていた。
「銀ちゃん…」
オレに気がついて、こちらを振り返る。
「見た…アルか?」
「あぁ…」
「なんでっ…」
「俺宛てだろ?」
「…っ、でも」
「アレが神楽の気持ち?」
「そう…アル」
「んじゃぁ、オレのも聞いて…」
そう言って俺はふわりと神楽を抱きしめた。
「ぎんちゃ…」
久々に近くで感じる神楽の匂いがオレに安心感を与えた。
「神楽…ごめん。
確かにお前のことガキ扱いしてたわ。
…ってか…多分…、ずっと今のままで居てほしかったんだと思う。
今のままずっと…そばに居て欲しかったんだと思う…ごめんな…」
そう言って抱きしめる腕をきゅっと強めた。
神楽は戸惑いながらも抵抗する気配は無かった。
「なんで…、何でアルか?私どこにも行かないネ。ずっと万事屋に居たいアル。」
「違うんだ神楽…そうゆうんじゃない。」
そう、違うのだ。
もう、そんな真っ直ぐな気持ちじゃないんだ。
「どうゆうことアルか?私きっと銀ちゃんや新八の役に立てると思うのヨ!これからも万事屋で…
「好きだ」
「へ?」
「神楽、オレは神楽のことが好きなんだ」
俺はついに、言ってしまった。