短編小説
□銀八先生の憂鬱
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---きっと私もあなたの力になれる日が来ると思っています。
神楽
最後まで読んでから、ソファですやすや眠っている神楽を見た。
なんだよ…これ。
銀時はとっさに神楽の押入れに向かいふすまを開く。
そこには防災用に用意していた懐中電灯が置いてあり、鉛筆と沢山のチラシが押し入れいっぱいに広がっていた。
近くにあったチラシを一枚手に取る…その裏はに沢山の文字…
「銀」
「態」
「願」
「熟」
「時」
「最」
…同じ文字が繰り返し記されていた。
全て手紙に使われている漢字だった…。
もう一度手紙を読み返す…。
こんな文章を神楽が書けるはずがなかった。
「アイツか…」
恐らく手伝っていたのはマヨ野郎。
そのためにアイツと会っていたのか…。
それで仲良くなって…
そして土方が言っていた言葉を思い出した…
「ガキだと思ってんのはお前だけ…」
きっと神楽は、いつまでも子供扱いする俺に嫌気がさしたんだろう。
それでなくても神楽は普段から大人になりたがっていた気がする。
ガキ扱いをしていたのは俺のエゴだ。
何も出来なかったら神楽はずっと自分を頼ってそばにいるのではないかと…無意識にそう考えていたんだと思う。
我ながらズルい奴だ…。
文字だってそうだ。
分からない文字があればいちいち「コレなんて読むアルか?」って聞いてくる。
もう地球に住んで大分経つのだから、きちんと教えればとっくにそんな必要は無くなっているはずだ。現にこの短期間で平仮名だけでなく漢字までマスターしてるんだから…
今日始めて自分の気持ちに気がついた銀時だったが、もうずっと前から神楽のことを大切な存在として見ていたのではないかと、そう考えるようになっていた。
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