短編小説
□つたえたい
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ぎんちゃん…
ぎんちゃんと呼ぶだけの作業を、こんなにも意識するようになったのはいつからだろう…
あれからどれくらい経ったかな…
いつかは消えてなくなるかもしれない…できればそうなってほしいという想いとは反対に、銀ちゃんへの気持ちは日に日に大きくなって…
もう自分の中だけじゃ消化できないよ…
だからって、この想いを伝える勇気はない…。
いや、もういっそ伝えたら楽になるかな?
ダメだったらどうしよう…
もう万事屋には居れないよね…
パピーにお願いして、エイリアンハンターとして修行させてもらえばいいかな…
それともゴリラにお願いして真選組の新一番隊隊長として雇ってもらうか…
うん、悪くないネ!
これなら銀ちゃんともちょくちょく会えるし…
あ、でも…どんな顔して会えばいいのかな?
フられた分際で、昔の男を引きずって、周りをウロチョロつきまとうなんて、私はそんな安い女じゃないアル!
そん時は堂々と捨てゼリフ吐いて宇宙に旅立つネ!それが私らしい生き様ヨ!
何て言おうか…
『後悔しても知らねーぜテンパ野郎が!』いや…、テンパよりマダオの方がいいか…
あ、
…またムダなこと考えてしまった…こんなの、何の解決にもならないのに…
意味ないのに…。
こんな自分にもうウンザリネ…
そうヨ!
女は当たって砕けロヨ!砕け散れヨ!
銀ちゃん…
今から私が言う事…
驚かないで聞いてくれますか?
*
やべぇ…
末期だよ…
末期の中の末期…
もうまっきっきだよ〜
神楽に『銀ちゃん』って呼ばれると、その次に『好きヨ』と言われるんじゃないかと期待したり…
朝起きたら、隣で寝てたりするんじゃないかと妄想したり…
そういやこの前やってた月9は三角関係の話で、神楽が夢中になって見てたっけ…
ようやく本当の自分の気持ちに気づいて今カレのマコトと別れ、近くに居すぎてあなたの大切さに気づかなかった!とか言いながら最後はタケシとハッピーエンドになる話…。
神楽は『良かったアル〜あのままじゃミキが可哀相ネ!』なんて言ってたけどさ…
ミキが神楽なら、タケシは俺じゃダメかなぁ…
マコトは沖田君あたりでいいんじゃん。
あっ!ほらほら!
今、銀さんのことキモッて思ったでしょ?ヒいたでしょ?
だから言ったじゃ〜ん。俺もう末期なんだよォ。
こんな夢みたいな妄想ばっかしてさぁ…
どうしたらいい?
ねぇどうしたらいいの俺?
誰かァ!
何でも悩み聞いてくれる人いませんかぁ?
解決してくれる人いませんかぁ?
…って、俺かっ!
俺、万事屋だったわ!
ったく〜…
自分のことも解決できないで、何が万事屋だよな〜。
コレ解決しないと、先に進まないからね…
もうこれは万事屋銀ちゃんの出番だな!
おい神楽ぁ!
仕事だぞ!
そうそう、久しぶりのお仕事ですよ〜
え?何?
給料くれないんだから一人で行けって?
ダメダメ!
今回の任務は俺だけじゃダメなの!
神楽は絶対に居なきゃだめなの!
え?新八?
あいつは留守番だよ!
分かったよ、臨時給料やるよ!帰りに酢昆布な!
えっ何?
依頼人は誰かって?
ったく、いちいちうるせーなぁ…お前は…
俺ですけど…。
依頼してもいいっすか?
万事屋グラさん…。
*