短編小説

□とどけたい
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想いを伝えようって決心した瞬間に銀ちゃんに声かけられるなんて…
…まだ心の準備ができてないネ…。
空気読めよ!天パが!




それにしても銀ちゃんの依頼って何かなぁ?


親子で行くとパフェ半額とか?

超特盛りラーメン完食できたら何かのサービス券がもらえるとか?



−ねぇねぇ、銀ちゃん?依頼って何アルかぁ?
これさっきからどこに向かってるアルかぁ?


…。


あぁん?無視ですかコノヤロー。



ンダヨ〜。
なんで何も言わないんだヨ〜。


こんな雰囲気じゃ言いたいことも言えないネ…




いっつもそうネ…。
銀ちゃんばっかり余裕で、なんかムカつくアル…。

嫌いアル…






…。

…でも、

…でもやっぱり、銀ちゃんの後ろ姿は好き。

追いかけてばっかりで、イヤってゆうほど見てきた、この後ろ姿が……私は大好き。




銀ちゃんの左手は着流しの中が定位置…

でも右手は…?



右手は暇そうネ…。


私だって本当は着流しの袖じゃなくて…その右手に触れたいのヨ…。

その手を掴んで、ずっと隣を歩きたいのヨ…。




ほら、今にも溢れ出しそうな想いでいっぱいいっぱい…。







私は歩くのを止めた…。




ぎ…ん……ゃん

ぎん…ちゃん…

銀ちゃん!






私の呼ぶ声に、何事かと振り返った銀ちゃん。
私は二人の間にできた距離を一歩ずつ埋めていく…。




顔が上げられない…
どのくらい?

銀ちゃんまであとどのくらい?



地面に落としたままの視界の中に、見慣れた銀ちゃんのブーツと着流しの裾…。


銀ちゃん…。


あとは顔を上げて、この気持ちを吐き出すだけ…



顔を…


あげて…



そこには、銀ちゃんの不思議そうな顔…。


何お前ウンコしたいの?
酢昆布は後で買ってやるからな…。
ん?神楽本当にどうした?やっぱウン…

私はそんな空気の読めない銀ちゃんの胸に、パンチをお見舞いしてやった。


本当はぶっ飛ばしてやりたかったけど、全く力が入らない…。
多分今まで一番弱っちいパンチじゃないかと思う。



もう一発…
もう一発…
もう一発…


私の目から、何か出てきた。




次のパンチを繰り出そうとしたとき、パシッと銀ちゃんに手を掴まれた。



その瞬間、握られた部分からあったかい感覚が全身に伝わって…、私のガッチガチに固まった体が解凍していくのが分かった。






やっぱり私は銀ちゃんが好きなんだ…


こんな臆病者な私にまでエネルギーをくれる…
触れただけで、勇気が出てくる…


銀ちゃんが大好きネ…









私から溢れてくる言葉…ちゃんと届けたい…。















−−銀ちゃんあのね



私、銀ちゃんが好きヨ








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