短編小説

□チョコが欲しい!
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「そこォォォ!?苛立つとこそこなのォォォ?

大好きな銀さんが沢山チョコ貰ってヤキモチ…みたいなパターンじゃないのォ?」


「は?ヤキモチ?何でアルか?」


(エッ?マジ?バレンタイン記念だよねこの話。
みんなが銀さんにチョコ渡すのを見て、自分は渡しづらくなったとか、うまくチョコを作れなかったとか…それを銀さんが見抜いて、ラブラブチュッチュッなパターンじゃねぇのかァ!)


「?」


(うわーマジでキョトンとしてるよこの子!本当にチョコが食べたいだけだよこの子!)



「で…でもさぁ…。バレンタインっつーのは女が男にチョコを渡す日だろ?」


「それは本命の話アル。
銀ちゃんが貰ったのは『いつもお世話になってますぅ…』ってゆうギリチョコばっかなんだから、どうせなら神楽様の分も用意しろよナ…チッ」


「うわ、なにこの子!感じ悪いんですけどォ!」


「だから銀ちゃん!私にもチョコ分けてくれヨ!」


そう言って目の前のチョコ全部を両手で囲い込む。


「分けるって全部じゃんソレ!
ダメダメ!銀さん甘いもの大好きって知ってるよね?お前は酢昆布かじってりゃいいだろ?」


(ってか、てめぇは銀さんへのチョコを用意してねぇのかァァァ!)



「おおぉ!九ちゃんから貰ったチョコは、セレブ御用達の有名店でしか買えないセレブチョコネ!」

「なに勝手にあけてんのォ?」


「ヤバいアル!口の中でとろけるネ!」


「なに勝手に食ってんのォ?」




だが、幸せそうにチョコを食べる神楽の姿は銀時を諦めさせるには充分だった。


「ったく、食いすぎて鼻血出すなよ!」


それだけ言うと自分も目の前のチョコレート達に手を伸ばした。



何にしても、今年のバレンタインは豊作だった。世話になったから…という理由で本当に沢山の人が万事屋にチョコを持ってきてくれたのだ。

「20以上あるかなぁ…」


そんなことを呟きながらチョコレートを物色する。


「銀ちゃん銀ちゃん!コレ食べてみるネ!なかなか美味しいアル」


神楽はそう言ってハート型のチョコを手渡してきた。


「お〜サンキュー。」
パキンと一口…。

チョコの固さから明らかに手作りであることが分かる。

「あ〜、コレ手作りじゃん。
オレこうゆういかにも作りました〜、って感じのチョコ結構好きなんだよね〜。誰から?」


「うーん…名前は書いてないアルな…。」


「へぇ、名無しかぁ…意外に本命だったりして…」


そう言ってニタリと笑う銀時。


「これだけあると、どれが誰からのチョコか分からないアルな…。」


「確かに…このダークマターと納豆チョコは一目瞭然だけどな…
…ちょっとその包み見せてみ?」


「ホイ」


神楽からの包みを受け取った銀時はそれを確認する…


(あ…)
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