ivent


□2011年クリスマス
1ページ/3ページ


   
2011年クリスマス   〜同じ時を過ごせたら〜





風が身を切る冷たさを含んで木の葉の里を駆け抜ける。


「う〜〜〜さびぃ〜〜〜」


ナルトは体を縮こまらせてマフラーに顔を埋めた。

街中はクリスマス一色で緑や赤がそこら中に溢れている。


(クリスマスかぁ。1年って早ぇな)


忍になってからというもの修行にだけ明け暮れる日々よりも時間はあっという間に過ぎるようになった。


(去年のクリスマスは確か任務だったんだよな)


確か去年はクリスマスパーティに出席する要人の警護に丸一日費やしたのだ。


体を暖めるために走って商店街を通り抜けるナルトは、向かいから見慣れた銀色が揺れるのを見つけた。


「カカシ先生!」


相変わらず手には怪しい本を持ち、それをじっと見つめるカカシにナルトは駆け寄る。


「よっナルト」 


本から視線を上げてナルトに片手を上げる。


「急いでるのか?」

「いや寒いから走ってた」


僅かに息も上がりナルトの頬は赤くなっている。

はっはっと呼吸を整えつつにかっと笑うナルトに、


(走って体を暖めるって・・・犬か)


「ナルト、お手」


と手を出すと、


「ほい」


とあっさり手を差し出すナルト。


「プ・・・ハハッ・・・お前って本当乗せられやすいよな。いい子いい子」


あまりに素直に手を出すのでその姿が可愛くて頭をくしゃくしゃっと撫で回す。


「な・・・っ!先生がお手とか言うからだろ!?」

「だからって乗せるか?普通・・・ククッ」


「ったく・・・悪かったな普通じゃなくて!ていうか笑いすぎだろ!」

「あー悪い悪い・・・あ、そうだナルト」


ふんっとそっぽを向いたナルトにカカシはポーチから何かを取り出す。


「はい」

「なんだこれ?」


手渡されたのは小さな巻物だった。


「明後日、任務が入ったからそれ目通しとけ」

「へ?任務?」

「大事な任務だから遅刻するなよ」

「それはこっちの台詞だってばよ!っていうか何の任務・・・」


ひらひらと手を振ってカカシは人ごみに消えていった。


「・・・任務って何の任務だ?しかもこれ読んどけって・・・」


ナルトがするすると紐を解いて中を開けてみると・・・


「え・・・・これって―――・・・!」

  


  
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ