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□過去拍手文
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まだ小さかった頃からずっと見てきた。

誰にも相手にされなくて、悲しみと憎しみと痛みにたった一人で耐えていたナルトはアカデミーに入り、仲間と出会い、師と出会い・・・・

めきめきと力をつけていった。

その成長にはこの俺も驚かされてばかりだ。

ずっとずっと後ろを追いかけてきてた足音がいつの間にか追い越していく。

その現実を今痛いほどに感じるんだ。


ナルトは歴代の火影を超える火影になる。

それは確信に近い予感。

だがその時俺はナルトのそばにいるだろうか・・・。



「・・・カ・・シ先生!カカシ先生!」

「あ?」

おっと休憩中だったな。

思わず深く考え込んでいた。

木の葉への帰路とはいえ、まだ任務中だというのに・・・。

「出発するってばよ?サクラちゃんとサイは先に行っちまったってば」

「・・・ああ、行くか」

手にしていた本をホルスターにしまい、立ち上がる。

「なぁ先生!帰ったら修行見てくれよ!」

「んーお前はもう俺が見てやらなくても大丈夫でしょ」

「え〜〜〜〜〜そんなことねぇってば!オレはカカシ先生がいいの!」

「え〜〜〜〜〜ってお前いくつよ・・・」

苦笑しつつサクラたちを追って歩きながらチラリと視線を投げかける。

ナルトはもう十分強い。

俺もきっと本気でやり合ったら手加減できないほどに。

「オレの先生はカカシ先生だけだもん!!修行見るのは先生の役目だろー?」

「・・・イルカ先生が聞いたら泣くぞ」

「はっ!いやイルカ先生も先生なんだけど、カカシ先生とはちょっと違うんだってば・・・」

「ほぉ?」

「イルカ先生はさ、一番最初にオレを認めてくれた人で、なんか先生っていうより家族で兄ちゃんみたいなんだよな」

まぁあの人は優しいからな・・・俺と違って。

でも、とナルトは歩きながら話を続ける。

「カカシ先生はオレ自身だけじゃなくて忍としてのオレを初めて認めてくれたんだってば・・・。火影になるって夢を追い続けていけるのも、もっともっと強くなりたいって思うのも、いつもそばでカカシ先生が見ててくれるからだ・・・・オレは、強くなったオレを誰よりもカカシ先生に見ててもらいたい」

「・・・ナルト」

ナルトの思いがけない言葉に俺の胸は熱くなる。

「だからさ先生」

ナルトは歩みを止めて正面からこちらへ向くと、



「オレがもっともっと強くなって火影になるのを、先生は一番近くで見ててくれってば!」




キラキラと輝く笑顔でまっすぐに見つめて、そう言った。

ナルト・・・

お前ってほんとすごいね・・・・

俺をこんな気持ちにさせるのはお前しかいないよ。



ナルトの澄んだ蒼い瞳があまりに愛しくて

こみ上げてくる想いが抑えられなくて


俺はそっと目を細めるとその笑顔を引き寄せて腕の中に閉じ込めた―――。



ねぇナルト、お前が望むならいつまでもそばにいてあげるよ・・・。


終わり


****************

掲載期間  2011・10・26〜12・25


 
   
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