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□雪待草
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この胸に咲き乱れるのは、金色の花。
心を埋め尽くす想いから、もう目を逸らさないと決めた。
枯れないこの想いと共に生きようと。
静かに揺れるこの花を、
枯れることのないこの花を、
いつか渡せる日は来るのだろうか……。
〜〜〜〜〜〜〜
ざわめく木々の合間を縫うように、額当てを付けた数人の忍が駆け抜けて行く。
その先頭を走る2人組みは、揃って金色と銀色と言う目立つ髪色をしていた。
1人がスピードを上げると、もう1人がすかさずスッと手を伸ばす。
「先生、早くしないと見失うってばよ!」
「まぁ待ちなさいって」
銀色の髪の持ち主───はたけカカシは、人差し指で口元を覆っていた布を少しだけ下げ、自分達の向かう先の匂いを嗅ぎ分けた。
隣にいた金色の髪の持ち主───うずまきナルトはそれを見て青い目を見開く。
「……人数が増えた。これ以上俺とお前だけで深追いするのは危険だ」
カカシは顔を険しくしてそれだけ言うと下げた口布を元に戻した。
「一旦作戦を立て直した方がいい。降りるぞナルト」
「……」
「ナルト?」
「……えっ」
カカシに呼ばれてナルトは我に返る。
見えなくなった後もナルトの目線はまだカカシの鼻先に向いたままだ。
「どうした?」
「な、何でもねぇってば!」
慌てて早口になるナルトに首を傾げながら、カカシは少し先に見える草地を指差す。
「あそこでシカマルたちを待つぞ。少し俺たちも休まないとな」
「……オッス」
足を止め、草地に降りたナルトは同じように隣に降りたカカシを再び盗み見た。
額当てが上げられ、いつもは隠れている左目が傷痕と共に露わになっている。
さらにさっき見えた鼻筋を頭の中で合体させると、これは今までで1番素顔に近い状態になるのではないか。
(やっぱかっこよさそうだってばよ……)
新しい作戦を練っているのか、カカシの顔は真剣そのものだ。
そんなカカシに半ば見惚れて、ナルトは小さく息を吐いた。
鼓動が早い。
任務の為とは言え、それを見たのが自分だけだという事実が嬉しくて。