gift


□誰が為
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カカシ先生と付き合うことになった。


その事実はオレにとってとんでもなく大事件。



嬉しくて嬉しくて───……嬉し過ぎて。



『カカシ先生、大好き』




素直にそう言える毎日は、幸せに満ちていた。











コツコツコツ……と足音がだんだん近づいて来る。


「ちょっといいかしら」


呼び止められて、ナルトとカカシは同時に振り返った。


「……俺?」

「ええ」


カカシを見つめる女性を見つめ、まただ、とナルトは思う。


「悪いナルト」

「あ、おう。オレ先に行ってるってば」


軽く手を挙げて、カカシはその人と行ってしまった。


「今日は長そうだなぁ」


目の前でカカシが行ってしまったにも関わらずナルトが平然としているのは、これが初めてではないから。


かと言って2、3回目というわけでもない。


晴れて恋人となった今でも、カカシと歩いているとけっこうな確率で声をかけられる。

おかげでいつ頃からかナルトも悟るようになった。

あの人はきっとこの後カカシに言い寄るのだろう。


(仕方ないってば。先生モテるし)


歩き出したナルトが振り返るとカカシが女性と並んで角を曲がるところだった。


「……」


慣れたとはいえ、何度見ても面白いものではない。


(カカシ先生の恋人はオレなのにさ)


関係を特に秘密にしているわけではなかった。

それなのにカカシに言い寄る女は後を絶たないのが現実で。


「はぁ〜あ……いつまで続くんだってばよ……」


声に出してナルトは溜め息を零した。












「ただいま」


1時間以上経って、カカシはようやく戻ってきた。

いつもは30分ほどだから、ナルトの予想は的中したと言える。


「おかえりー……」


遅かった、と続けそうになってナルトは口を噤んだ。

カカシはきっと女性の話に最後まで付き合っていただけだ。

見てもいないのになぜわかるのかと言うと、理由は簡単で他でもなくナルト自身がそれを体験したから。


ナルトが告白を決意した時、一向に言葉が出ずに黙り込んだナルトに、カカシは何も言わずに最後まで一緒にいてくれた。


上司として厳しい一面もあったが、任務を外れればカカシはいつも優しかったカカシ。


そしてそれは悲しいことにナルトに限ったことではない。


ナルトと付き合っている今でも女性陣が諦めずカカシを誘うのがその証拠だった。


「待たせてごめんね」


カカシが伸ばした手で金髪を撫でる。

まるで何もなかったかのような仕草と声で。


「……カカシ先生ご飯食べる?」

「ああ……そうだな」


そしてナルトも、いつもと変わらなかった。




 
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