小話帳
□2013年1月25日〜
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2013・1・25
・二部恋人
・ナルトの看病に訪れたカカシ先生
・甘め
小話〜看病〜
まるで熱い風呂に入り続けているようだ。
全身が熱くて、吐き出す息まで熱風みたいに熱かった。
それなのに体の芯だけが冷えきって震えが止まらない。
……ナルトは、今朝から続く高熱に珍しく寝込んでいた。
「ナルト……?」
どれぐらい経ったのか、ふいに呼ばれてナルトは虚ろな目を開けた。
誰かいたっけ、と思うけど熱のせいで頭が動かない。
「大丈夫?」
聞かれて小さく頷く。
心配そうにそっと大きな手が何度も額を滑っていった。
(ああ………)
この手は知っている。
ナルトは赤く染まった頬を緩めてその手に触れた。
少し冷たくて手甲のついた手。
(来てくれたんだ……)
そう思ったら急にホッとして、甘えるように掌に頬をすり寄せる。
「カカシせんせい……」
そこにいるであろう恋人に向けて、薄く目を開けた。
ぼんやりと見えるのは緑色と銀色で、おそらく任務の後すぐに駆けつけてくれたのだろう。
ナルトはへへ……と力なく笑った。
「うれしい。会いたかったってば……」
本当はずっと不安だった。
熱は上がる一方で、サクラが任務前に薬を置いていったけどそれを飲む元気すらなくて、心の中で何度もカカシを呼んだ。
もしかしたらこのまま死んじゃうかもしれない。
そしたら無性に会いたいって気持ちがこみ上げてきて。
そのカカシが今ここにいる。
「先生だいすき……」
熱に浮かされて、ナルトは普段よりずっと素直に思ったことを口に出していた。
ベッドの脇に膝をつくカカシが、小さく息を飲んだことに気づかずに。