小話帳


□2012年5月2日〜5月8日
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5・2


・恋人設定
・原作沿い
・甘め





〜1日の終わり〜







任務が終わって家へ帰ると、布団に倒れこむ。



その途端に体の力が抜けて、ナルトは一気に睡魔が襲ってくるのを感じた。



ウトウトとまどろんで瞼を下ろしかけた時、





「―――……ナールト」



「……ん」





(……なんか今……先生の声がしたような…)







そう思ったけどナルトは睡魔に勝てそうになくて、上げようとした瞼は再び下がっていく。









「……ナルト?」





カラカラと窓を引いてカカシが顔を覗かせた時には、ナルトはすでに気持ち良さそうに寝息を立てていた。





「あら……もう寝てるのね」





カカシは残念そうに呟いた。



今日は別々の任務だったのだ。



1日離れていたせいか、どうしてもナルトの顔が見たくなったカカシは、深夜まで任務だったナルトの帰りを今か今かと待っていた。



そうしてやっと愛しいチャクラを里の中に感じて駆けつけてみれば、





「スー……スー……」





よほど疲れたのかナルトはあっという間に夢の中へ行ってしまった。





「…ま、仕方ないか」





カカシは音を立てないように室内に身を滑り込ませると、ナルトの足についたままになっているホルスターを外してうつ伏せだった体を仰向けにしてやった。



しっかりと上まで上げてある服のチャックを下まで下げて前を寛がせる。





(帷子はそのままでいいか…)





額当てもつけたままだったのでその紐も外して、サラサラと流れる金糸に指を絡めた。



触れると柔らかな髪に、引き寄せられるようにして口付ける。





「ん……」





擽ったそうに身を捩るナルトの前髪をかきあげて、今度はその額に。



前髪をかきあげた手を少し下げて耳の裏にまわして、極々弱い力で顔を支えてから瞼に、こめかみに、頬に、耳に、カカシはキスを落としていく。



最後に取っておいた唇に自分のそれを重ねると、そこだけ他よりも長く口付けた。



薄く開いた唇から舌を入れて、ゆっくりと口内を味わう。





「……ン」





ナルトが小さく声を上げたところで、名残惜しいけど唇を離して寝顔を見下した。



こうしていると昼間の騒がしさが嘘のように消えさって、綺麗な顔立ちが目立ち普段より大人びて見える。



金色の睫、淡く染まった頬、赤く柔らかな唇…



普段忙しく動き回っている表情も、こうして気持ち良さそうに眠る姿も、見ているだけで愛しさが増す。





……でもできることなら、





「こんな無防備な姿は、他の人には見せないでね」





カカシがキスしても起きないということは、他の誰かにされてもきっとナルトは気づかないだろう。



カカシは苦笑いをしつつ、ナルトを起こさないように体の下にそっと手を差し込んだ。



軽々と抱き上げ、その体を少しだけずらす。





それから自分自身まだ身につけたままだったベストとホルスター、額当てを外してナルトが移動したことで空いたスペースに横になった。





体は自然とナルトの方へ向き、引き寄せた布団ごとナルトを包み込むように抱きしめる。





目の前にある金色の髪に鼻先を埋めて深く息を吸えば、ナルトの匂いがして顔が緩んだ。



ようやくその存在をしっかりと感じることができて、安心する。





「おやすみナルト…」







腕の中の温もりを何度も確かめながら、カカシは目を閉じた。





1日の終わりに一緒にいられれば、それだけでその日は幸せな日になる。





そして起きた時にこの目に映るものが、どうかその笑顔であるように――……









***
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