小話帳


□5月17日〜10月16日
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2012・5・17


・原作沿い二部
・恋人設定
・背景注意






〜雷鳴〜





窓から眩い光が差し込んでナルトは閉じていた目を開けた。



続いて低い唸り声のような音が響く。



雨は降っていないのに空はどんよりと暗く、時間を錯覚してしまいそうだ。



気になって頭上の時計を見ればやはりまだ昼の2時。





「……雷すごいなぁ」





そんなナルトの呟きにカカシは手にしていた本をパタンと閉じた。





「何? 怖いの?」



「え!? ちっ、違うってばよ!」



「クス……その割にはやけにくっついてくるね」





ナルトはカカシの膝の上に頭を乗せてベッドの上に寝転んでいた。





「これは別にそういう意味じゃ……」



「じゃどういう意味?」





カカシは意地悪い笑みを浮かべてナルトの首筋からシャツの中に手を滑り込ませた。



ピクッとナルトの肩が動く。





「真昼間から何してんだってば……」



「だってせっかくの休日だし」





だからって昼間からすることではないのでは……。



ナルトは言い返そうとしたが、その前に敏感な部分をカカシの指に撫でられて息を詰める。



窓からまた強い光が差し込んで部屋を明るく照らした。



カカシの顔が逆光によって一瞬暗くなる。



ナルトはその時ふとカカシに聞いてみたかったことを思い出した。





「そういやさぁ」



「……ん?」



「先生が雷切ったって本当なの?」





カカシは唐突な質問に僅かに動きを止めたが、





「あー……そんなこともあったな」





特に気にすることなく答えると再び手を動かした。



徐々にナルトの体をずらして自分が上に圧し掛かる体勢へと移動していく。



シャツを裾からたくし上げられてナルトは素直にシャツを脱ぎ捨てた。





「じゃあさじゃあさ、オレも螺旋手裏剣で風を切れるってこと?」



「ま、物理的に言えば不可能ではないだろうが……雷よりは難しいかもな」



「なんで?」



「雷と違って風には範囲がないからさ。ここからここまでが風です、っていう定義はないだろう?範囲も勢いも、常に動き変化していく」





言っていてカカシはナルトみたいだと思う。



常に動き、進化し、止まることを知らない。



ようやくこの手に掴んだと思っても次の瞬間にはすり抜けていく。





カカシにとって、ナルトは留めておくことができない風そのものだった。





「でもさ先生、風は雷に強いんだろ? それって……」



「質問ならまた今度答えてやるよ……今はこっちが先」





首筋から順に下に向かって舌を這わせれば、ナルトの手がカカシの肩を掴む。





「ンッ……」



「そうそう、もうちょっと腰上げて……」





次第に熱くなっていく吐息に誘われるままに、カカシはナルトを貪っていく。



手に入れても、いつどこへ向かうかわからないこの子を今だけでも閉じ込めてしまいたい。





「ナルト……」



「ぁッ――」





空から響く雷鳴に混じって室内に甘い声が広がる。



カカシは稲光によって時折浮かび上がるその身体を離さないようにしっかりと抱きしめた。









時に追い風となり皆の背を押し、



時に向かい風となって視界を遮るものを吹き飛ばす。



決して止まることのないその風。





「だからこそ捕まえたくなるんだけどね……」



「な、に……?」



「……何でもないよ」





カカシはナルトの首筋に顔を埋めてその肌をきつく吸い上げた。





留めておけないのならせめて、今確かにここにいるのだという証をその身に刻みたくて……









***
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