gift


□be full to the brim
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これはチャンスってやつじゃないのか。

任務帰りの途中、カカシは1人思考を巡らせる。

目の前には少し伸びた金髪を風に揺らして微笑むナルト。

その青い目には、今は自分だけが映っている。

たったそれだけのことで、カカシの鼓動はいつになくリズミカルに脈を刻んでいた。


「・・・」

「・・・」


今だ。

きっと今しかない。


そう思うのにいざナルトを目の前にすると気持ちばかりが先走ってうまく言葉が出てこない。


「カカシ先生・・・?」


ナルトに呼ばれて、決意を固める。

今日こそはこの溢れそうな想いの丈をナルトに――・・・


(今日こそ・・・!)

「ナルト!俺は・・・」



・・・ぐーーーーきゅるきゅるきゅる・・・



しかし、決意も虚しくその雰囲気を壊したのはナルトの盛大な腹の虫。


「カカシ先生、さっきからなーに固まってんだってばよ。早く一楽行こうってば!奢ってくれるって約束!」


そう言うと、ナルトはくるっと踵を返して歩き出してしまった。


「あ、ナルトまだ話途中・・・って・・・」


(なんでまたこのタイミングなんだ・・・)


カカシは一気に脱力した。

ナルトの後ろ姿を見ながら、ため息を吐く。


(1、2、3・・・いや4回目か?)


指折り数えるのは、失敗してきた回数。

言っておくが決して任務ではない。

任務の方がまだ簡単だとカカシは思う。


これは、カカシがナルトに気持ちを伝えようとした回数。

そして、それが失敗に終わってきた回数である。


(告白がこんなに大変だとはね・・・)


今まで自分に告白をしてきた女性たちが実はすごく勇気を出していたことに今更気づく。

あっさり断ってきたことを、ちょっと反省した。


今まで恋愛はそれなりにしてきたけど、カカシが自分から行動をするのはこれが初めてだったりする。

でもそれを抜きにしても相手はあのナルト。


鈍感で、教え子で、部下で、何より男同士。


色恋とはかけ離れた所にいる相手に告白するのだ。

それなりに覚悟はしてたけれど、それは思った以上にうまくいかなかった。




・・・・・




ずずずーっと美味しそうに味噌ラーメンを頬張るナルトを横目に、カカシは次はどんな手でいこうか考える。


(明日からはしばらく別任務だったよな。修行見てやるっていうとコイツ本当に修行のことしか見えなくなるし、かと言って・・・)


作戦を練るのは得意分野。

しかしそのカカシの作戦をことごとく壊すあたり、さすが意外性忍者というかなんというか。



 
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