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□キリリク(8000)
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『カカシ先生が好き』


初めて会った時から、この想いは常に胸にあった。

強くて、優しくて、頼りになって、かっこいい。

包みこんでくれるような、あの優しさがどうしようもなく好きだった。

見下ろす瞳も、撫でてくれる手も暖かくて。

触れられると泣きそうになる。


尊敬と憧れ。


強烈に植えつけられたその感情は胸の内を焦がすように、じわじわと大きくなっていった。


でも・・・


・・・これが俗に言う“恋愛感情”の類だなんて全く思わなかったんだ。

恋愛は女の子とするものだと思っていたし、実際女の子にも興味はあって、その体にも触れてみたいと思う。

だからまさか自分が男相手に、ましてや尊敬する師に対してこんな欲を持つことになるなんて、思わなかった。

今ナルトは、カカシの部屋の、カカシのベッドの上。

口布を下ろした状態のカカシはぐっすりと眠っていて、ナルトはそのカカシの腹の上に跨り、綺麗な寝顔を見つめては高鳴る鼓動を抑えられずにいた。


「・・・せんせい」


口に出すと余計に胸が締め付けられる。

思っていたよりも重症だ。


(よく寝てるなぁ・・・さすが暗部御用達の薬だってばよ)


ナルトは机の上の小瓶を見る。

その横では、コーヒーとココアがゆらゆらと湯気を立ち上らせていた。


「ごめんな、カカシ先生」


ナルトがそっとカカシのベストの前を開けて、さらにアンダーと帷子の下まで手を滑り込ませると、滑らかな肌に所々傷跡があるのがわかる。

その一つ一つを確かめるようになぞり、帷子ごと服を持ち上げると、現れたその肌に唇を寄せていく。


「・・・ん」


唇が胸の先端に触れると、カカシが小さく声を漏らした。

そっと様子を窺うが、瞳は閉ざされたままだ。

それを確認するとナルトは再び愛撫を続けていった。


――ずっとずっとこうしたかった。


カカシの肌に触れながら、ナルトは自分の中の欲を強く自覚していく。

でもそれに気づいたのはほんの数ヶ月前。


カカシのことはずっと大好きだったけれど、それに欲が絡むことはなかった。


(あ・・・でも先生に撫でられるのは好きだったなぁ)


ふと思い出す感触。

大きな手がくしゃっと髪をかき回すあの撫で方は、癖になりそうな気持ち良さがあって、いつもその瞬間を心待ちにしている自分がいた。

それに目が合った時とか。

濃藍の右目が細められる度に、抱きつきたくなる衝動に駆られたこともけっこうあったような。


(てことは結構前から・・・?)


鈍いとはよく言われてきたナルトだが、自分のことに関してもそれは同じらしい。

顔を上げたナルトは眠ったままのカカシを見つめる。


「―――・・・先生?」


今こうして触れてても、大好きな瞳は開かない。

暖かい手が動くこともない。


「・・・」


・・・何をしても、一方通行だ。

自分が作り出した状況にも関わらず、空しさがこみ上げてきて、

涙が一筋、ナルトの頬を流れていった。


 
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