gift


□誰が為
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向かい合って食事をして、30分も経とうとした頃。


「ナルト」

「え?」


呼ばれて顔を上げると、呆れ顔のカカシと目が合った。


「聞いてなかっただろ。俺しばらく任務でいないって言ったんだけど」

「あ、ごめんってば」


長期任務。

その中にくノ一はいるのだろうか。

ふとそんな疑問が浮かんだが、すぐに振り払うように首を振る。

考えても何もならない。

カカシはまた何もない顔で告白を受けてナルトの元へ戻ってくる。

ナルトもそれに対して何も言えないのだから……。


「わかったってばよ」

「……」


笑顔で頷いたナルトに、カカシは僅かに視線を落とした。


 
*



翌朝、まだ陽も昇らないうちからカカシは任務へと発つために1人身支度を整える。

後ろではナルトが布団に包まって寝息を立てていた。

長期となると荷物も多く、かさばるリュックを背負ったカカシはその足をナルトの方へ向ける。

寝ているナルトの前髪をかきあげるようにしてゆっくりと撫でた。


「……いってくるよ」


そう告げたカカシの声にナルトは小さく唸るだけだったが、カカシはそれで満足したのかその後は足早に集合場所へ向かった。


カカシの気配が遠のき、1人残されたナルトはそっと閉じていた瞼を開ける。


「……」


昨夜はたっぷり寝たはずなのに、もやもやと心の中が燻るのはきっとカカシと長く離れるせいだ。

恋人であるナルトはカカシと離れ離れなのに、カカシの傍にはまた誰か知らない女の人がいるかもしれない。

里内で、恋人であるナルトが一緒にいても声をかけられるのだ。

ナルトがいないとなれば、尚更想いを告げようと企む人だっているはずだ。


(……カカシせんせーが悪いんだってば)


1人になると堪えていた胸の内から黒い感情が姿を表す。

それは他の誰でもないカカシへの不満だった。


(誰にでも優しくするからみんなカカシ先生のこと諦めないんだってばよ)


本音はいつだって、カカシを独り占めしたくて堪らない。

昨日あんな風に他の人と行ってしまうのを見たら、独占欲はますます強くなる。

それは本人に言えないからこそ強くなる一方で。



『カカシ先生大好き!』



初めはそれだけで幸せだった。

でも今は違う。

カカシが誰にでも分け隔てなく接しているのを目の当たりにしてしまえば否応なく不安は膨れ上がる。


ナルトにとってカカシは誰より特別で唯一無二の存在だけど……。


(カカシ先生にとってオレは……)


カカシの前で出せない分、1人になった時の反動は大きい。

布団を頭まで被って、ナルトはきつく目を瞑った。


 

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