夢物語

□天気は雨、心は晴れ模様
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「…最悪…」

今日は1日晴れるでしょうと言ってい たお天気お姉さんの嘘吐き。

晴れ所か大雨じゃんか。

晴れだったら街の方へ行って買い物を するつもりだったのに…。

雨なんて大嫌いなのに。

それに、傘なんて家に置いてきちゃっ たし。

塗れて帰るしかないよねぇ。

本当に嫌になってくる。

「あぃ?東雲さん?」

「ん?」

後ろから声をかけられ、振り向けば去 年同じクラスだった私の友達の知念が いた。

テニス部のくせにモテない所か知念は 女子からの人気がないらしい。

女の子ってよくわかんない。

いや、私も女の子だけどさ。

「ぬーしてるんばぁ?」

「雨宿り。傘、忘れたから」

「えー…くぬあみじゃ当分止みそうにも ねーらんな」

「だよねー…はぁ、ホンット最悪」

溜息なんて吐きたくないけど、吐い ちゃうもんはしょうがないでしょ。

…って、知念は何で私の隣にいるの?

何で?帰らないのかな?

本当に何考えているのか時々わからな いから困る。

「知念は帰らないの?」

「わんがけーったら東雲さん1人になる だろ?」

「…一緒にいてくれんの?」

「ん」

小さく頷いてくれた知念に私は感動を 覚えた。

さっき酷いことを思ったけど、撤回す る。

知念、マジでいい人すぎる。

雨が止むまで後者の玄関で立ち話をす るけど、知念よ、マジでホラー小説好 きだな。

私もホラー小説好きだからついつい話 が盛り上がったけど。

で、今度お互いのオススメのホラー小 説を持ってくるという約束まで交わ し、ついでに今上映してるホラー映画 を一緒に見に行くという約束もした。

…まぁ、いいか。

知念とは友達だし、デートとは違うは ず。

…多分。

「あ、あみが弱まったさぁ」

「本当だ。小降りだけど、今の内に帰 るよ。 知念、付き合ってくれてありがと!」

「どういたしまして」

「…っ、え、あ、じゃぁ、また明 日っ!!」

小降りの雨の中を私は走って学校から 出て家へ帰る。

滅多に笑わない知念が笑って、それが めちゃくちゃ格好良くて、胸がドキド キしっぱなしで凄く煩い。

でも、雨は嫌いだけど、心は晴れ模様 となっている。

知念のおかげなのかな…?

私のこの気持ちに気付くのはもう少し先のこと―――…。
 

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