KB 小説

□大きくなったら
1ページ/1ページ







『おおきくなったら、ゆたとけっこんするー』



子供のころ
オレは、祐希にそんなことを言われた。
たくさん言われた。
それに対して



『ぼくもゆきとけっこんする』



返答がこうだった。
そんな小さいころに
結婚なんて言葉の意味を知ってるほうがすごい。
たぶん祐希も
ずっと一緒だよ
っていう意味で言ってたのだと思う。
本当に小さいときのことだから
祐希はきっと覚えてないだろう。



「ゆーたっ」
「っわ」



後ろから抱きついてきたのは
今まで考えていた相手で。



「なにぼーっとしてんのー?」



なんてことをきいてくるから



「なんでもない」



ちいさいころ祐希が結婚しようっていってくれたことを考えてたんだよ。

なんて言えるはずがない。
第一、祐希が覚えているはずがないでしょ。



「えー?嘘っぽい」
「いいの。もうおしまい」



話題を強制終了させようとした、
その時だった。



「ねぇ悠太」
「ん?」
「小さい頃さ、オレが結婚してくれる?っていってたの覚えてる?」
「・・・っは?」



・・・双子ってすごい。
まさか、いつも考えてること、一緒なのかな。
それとも
オレの心よんだ?
なわけないよね。



「さぁねぇ。祐希くん、そんなこと言ってたっけ?」
「言った。言ってた。覚えてない?」
「どーだか」



わざと覚えてないフリをした。
昔ひとりで信じてた
自分がバカみたいに思えるから。



「ゆうた、」
「なに?」


「オレ、まだ本気で信じてるから」







おおきくなったら・・・









「オレと結婚してくれるんでしょ?」


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ