□宴のはじまり
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ゆっきーもなんだかんだ言ってハイドには甘い。いつも俺が今のハイドみたいに決めていこうもんなら『好きなの飲めばいいじゃない』の一言で終わる。


「ほら、出来たで。」
大きい皿に大盛にいれられたチャーハン。

ゆっきーとハイドの皿を並べ、決めてあったお酒に手を伸ばす。
そのお酒は俺の好きな酒で、ハイドを見るとへへ、と笑っていた。そんなの反則だろ…と思いながら俺の好きなお酒を覚えてたのか、と嬉しさが込み上げてくる。


「じゃあ、今更だけどハイドくんの入学祝いで乾杯しようか。」

「そうやね、今更やけど(笑)」

今は6月下旬。本当は4月に祝ってあげるべきだったのに…
「レイナさんといろいろあったしねぇ。」
「おい、ゆっきーι笑えへん…。」
「‥…。」

レイナと別れたのが最近…。4月は俺の勝手でハイドに会えなかった…。

「今は関係ないし、それじゃ乾杯!!」

無言になったハイドを見て焦った俺は慌てて乾杯をした。

「…乾杯。」
少しテンションの落ちたハイドの乾杯を聞いて、更に焦る俺。どうすればいいのか分からず、ことの発端のゆっきーに目線をやると我関せずといったように顔を反らした。

「ハイド、ほら食べるで。」

「うん…、」

それでも落ち込むハイドを見て、俺はため息をつき、ハイドの隣にひっついた。

「なんや。ハイド、あーんってしてほしかったんか!」
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