□ゆらゆら
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…風でゆらゆら、
…太陽の日差しにゆらゆら、

周りは、桜に酔い
酒に酔い
はたまた、恋人に酔い

雰囲気に酔い、流され、飲み込まれてしまう。

あぁ、ゆらゆら‥、ゆらゆら‥‥、

「けんちゃん、酔ってもうたみたい。」
「…飲んでへんやん。」

「桜と‥けんちゃんに酔うたの。」
「サクラ?」

「ちゃう。分かっとるくせに、あほ。」

軽くけんちゃんの腹にパンチをかますと はは、っと笑った。

自分でもクサい台詞を言ったとは思う。
けんちゃんに酔っただなんて、どこのホストなんやろう(笑)

でも、一人で見る桜より、けんちゃんと見る桜の方が数段きれいに見える。


‥ゆらゆら、ゆらゆら
風に任せ、ゆらゆらと舞う桜の花びら。

‥ゆらゆら、ゆらゆら
オレの視界もゆらゆらし始める。
眠い、

丁度いい暖かさ、
心地いい風、
握られた手から伝わる気持ちのいいけんちゃんの体温。


ぼー、とけんちゃんの横顔を眺めていると急に世界が真っ白になって、オレは眠ってしまった。


‥ゆらゆら
‥‥ゆらゆら

視界じゃない、
オレ自身がゆらゆらしている。
嗚呼、気持ちいい揺れ。
もしかして、オレけんちゃんにおぶさってる?


目をゆっくり開けると、けんちゃんの横顔が近かった。

「おはよ、ハイド。」
「おはよ…、ごめん、オレ寝ちゃったんやね。」
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