赤
□オレだけの、なんて…
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オレだけの、なんて思うのは…
「……。」
「どうしたん?」
「…別に。」
「怒っとるやろ?」
怒ってるよ。でもね、怒ってるより悲しいが勝ってるんだよ。
テレビの音だけが響くリビング。
会話はない。
「ひっついていい?」
「来ないで。」
今はけんちゃんに近づきたくない。引っ付こうと近づくけど、そのたびに遠のくオレ。
「キレるで。」
「お好きに…。」
トーンが低くなったから本当にキレるかも知れない。それでもいいよ。悲しくなるだけだから。
「……。」
「うわっ!!」
急に倒され、思わず声が出てしまった。
真剣な顔。キレてる……でも、オレも本当に怒っているし、悲しいから。目を反らさずじっと見る。
「ごめん…。」
「え‥…?」
意外にも出た言葉は謝罪の言葉。
保っていた虚勢が崩れ、涙が溢れてくる。
更に頭なんて撫でてくるから止まらなくなるじゃん。
「俺のせい…だよな。」
違う…オレが勝手なだけ。
そう言いたいのに、