□君からの言葉さえ
1ページ/7ページ


次のライブまでの準備とかで忙しい今、12時になり日付が変わると同時に、スタッフさんやバンドのメンバー達からお祝いの言葉をたくさんもらった。
隠れてケーキやプレゼントまで用意され、本当にうれしくて、泣きそうになった。

携帯にもたくさんの人達からお祝いのメールが来ている。
でも、一番に来て欲しい相手からは来ていない…。


「忙しい…んかなぁ?」

けんちゃんも今忙しいみたいで、スタジオに篭りっぱなしって言っていた。

それでも、今くらい…
「今くらい、いいのに…。」
「なにか言いました?」

「ううん、なんでもない‥‥。」

みんなでせっかく盛り上がってるのに、悪いなと思い必死にテンションを上げ、楽しむけど、やっぱり携帯は手放せないままだった。

今まで一緒に過ごしてきた誕生日。なのに今年は一緒に過ごせない。オレが先に仕事を入れたから、だからけんちゃんは怒っているのか。
そう思って仕方がなかった。けんちゃんのことを考えれば考えるほど、悲しくなってきて、みんなからのおめでとうが色褪せてきていた。


なんでオレ、今祝われてるんやろ…、誕生日ってなんだっけ?
その意味さえ分からなくなっている。
夜明け前になり、ようやくこのパーティは終わり、自宅に戻る途中で電話がかかってきた。



『ハイド、誕生日おめでとう!』
「…がっちゃん、ありがとう!覚えとったんやね。」

電話の相手はがっちゃんだった。お祝いの後すぐにかかってきたのはカズがあらかじめがっちゃんに話していたからだろう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ