赤
□彼の存在(かのそんざい)
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けんちゃん。
いつもオレを苦しめる名前。
なんでもないときでも頭を廻る名前に身体まで反応する。
会いたい。
…会いたくない。
なんでこんなことになったのか。
VAMPSでのツアーも終わり、ようやく家に帰ってきた直後、『せっかく戻ってきたのなら飲もう。』そんなけんちゃんの言葉になんの疑いもなく、けんちゃんと飲みに行った。
ある程度飲み、帰ろうと言うと、けんちゃんはそうとう酔っていて、一人では危なっかしい足取り。
仕方なく肩を貸して、けんちゃん家に連れて帰った。
そこで帰ればよかったのに…
けんちゃんの服を変えようと服に手をかけた瞬間……
「なぁ、セックスしようや。」
腕を捕まれ、耳元で囁かれた。
「なっ///オレ、男やで!!!」
「知ってる。何年一緒やと思うてん?」
クスクス笑うけんちゃんは酔ってるんだ、とちょっと動揺した自分が恥ずかしくなって帰ろうとした。
「帰さんよ。」
腕を引っ張られ、ベットへと組み敷かれた。
その目はさっきまで焦点の合わない酔った目ではなかった。
「…け、けんちゃん酔うてるんよね?冗談キツいわ。」
けんちゃんの目が怖くて目を逸らして言うと、耳を舐められた。
「ひゃっ//」
「冗談?冗談で男とセックスしようなんて言わへんよ。」
その顔は悪戯な少年の表情をしている。
「帰し、て…」
無理な願いだと分かっている。
けど、ただからかっているのなら離してくれるんじゃないかと、ちょっと期待していたが…