捧
□想いは身体に
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―コン、コン―
「はい…。」
今日はラルクで集まって曲作りに励んでいた。
オレは別に部屋を借りて一人で作るのがいいんだけど、部屋にやってきたのはけんちゃん。
「曲作り順調?」
「うーん。息詰まり中。」
みんなそれぞれ曲を作ってきていたらしく、VAMPSでそれどころじゃなかったオレはみんなが作ってきた曲に歌詞を付けているのだが、なかなかうまく進まなかった。
「コーヒー持ってきたから、一旦休めば?」
「そうやね、ありがとう。」
紙とにらめっこは止めてコーヒーに手を伸ばした。
机を挟んで正面に座るけんちゃん。頭をゴムで結び、メガネを掛けてる姿を見て不覚にもかっこいいと思ってしまった。
それを隠すようにコーヒーに口をつける。
…けんちゃんが煎れてくれたコーヒー。
豆は普通の豆なのだろうけど、けんちゃんが煎れるとすぐ分かる。愛情がって言ったら恥ずかしいけど、けんちゃんが煎れたコーヒーには愛が詰まってる。
「…ハイド、キスしよ?」
「えっ?」
コーヒーを吹き出しそうになった。
けんちゃんを見ると、いつになく真面目な表情をしていた。だから、嫌とも言えず固まってしまう。
「少し、でいい。」
そういって近づいてき、優しく抱きしめる。ふわっとけんちゃんの匂いが纏った。