□側にいれば、
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病室から見える景色はいつもと変わらない。
どこも寝巻き姿の患者や、看護婦のみ。

「なーに、黄昏てん?」

病室に入ってきた白衣を着た医者。
これがオレの主治医であり、恋人のケン。

「暇やなぁ、って。」
「じゃあないやろ?ハイドは病気やねんから。」

オレはもともと気管支が弱く、度々入院していた。
ずっとオレの主治医を務めるケンに励まさられ、
オレは惚れ、告白をして付き合うようになった。

「病人に夜中無理をさせてるのは誰やねん。」
「あはは(笑) ダメな医者やなぁ。」

あはは、と笑いながら悪そうに思っていないけんちゃんに溜息をついた。

最近、夜になるとけんちゃんが病室にきて、
身体を繋げている。

昨晩も朝方まで身体を重ね、腰も喉も痛い。

「なぁ、外行きたい。」
「野外かぁ、それもいいな。」

「ちゃうわ。変態医師。」
「嘘やって。ほな、外行きますか?」

けんちゃんに軽いパンチをかませ、ベッドから出た。
差し出されたけんちゃんの手を掴み、歩き出した。

患者と医者だと、手を繋いでても周りから変な噂をされることがないから嬉しい。

「デートみたいやな。」
「安上がりなデート(笑) 退院したら遊園地行くか。」

頭を撫で、微笑んでくれるけんちゃん。

うん。って返事をしてけど、
本当はね、退院なんかしたくない。
だって、病院の外だと手を繋いだり、抱きしめたりできないから。

ずっと入院していたいよ・
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