DRRR!!
□お邪魔虫
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一人暮らしにしては広すぎる部屋に来客を告げるチャイムが響いた。
「正臣君。ちょっと出てもらえるかな?俺、今、手が離せないんだよね。」
この部屋の主人である折原臨也はパソコンに向かい、キーボードを打つ手を止めずに指示をだす。
ここは情報屋である臨也の事務所兼自宅として使われている新宿のマンションだ。
仕事の報告のために訪れていた紀田正臣は言われたとおり来客を確かめるため、インターフォンの画面を覗いた。
「臨也さん…あの…」
「いいから、いいから。早く鍵、開けてやって。ドア壊されるのは困るから。」
戸惑ったような正臣の声にパソコンから目を上げることなく答える臨也に正臣は仕方なく玄関へ向かった。
鍵を開けたとたんに勢い良く開かれたドアに続いていらだった声が聞こえる。
「おせーぞ!!臨也!!」
その声の主、平和島静雄はドアを開けた先にいた人物を見てきょとんとなる。
「どうも、お久しぶりです。」
正臣が軽く頭を下げながら挨拶をすると静雄は訳が分からないと言う様子で首を傾げた。
「…俺、部屋、間違ったか?」
「えっと…」
「間違ってないよ。早かったね、シズちゃん。ちょっと、今、手が放せなくてさ、正臣君に出てもらったんだ。まだ少し時間がかかるから、待ってて。」
部屋の奥から聞こえた声に2人が視線を向ける。
そこにはやはり、パソコンに向かって手をせわしなく動かしている臨也の姿があった。
「あ、正臣君、お茶入れてくれないかな。のど乾いちゃった。」
「静雄さん、紅茶、飲めますか?」
ソファーへと腰掛けた静雄にキッチンから声をかける。
「あぁ…牛乳が入ってるなら…」
少し恥ずかしそうに答える静雄に微笑みながら、牛乳を火にかける。
「静雄さんが臨也さんを訪ねてくるなんて珍しいこともあるんですね。」
実際には臨也の近くにいながら落ち着いてるなんて珍しいと言いたいところだが、それを柔らかくして問いかけてみた。
「まぁな…」
「正臣君、俺の分、早く貰えないかな?」
少しいらだった声が聞こえたが、無視しつつ出来上がったミルクティーをカップに注ぎ、静雄の座るソファーの前のテーブルへ置いた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとな。」
軽く目を伏せながら言う静雄に笑顔で答えながら、意外と睫毛が長いんだななんて思う。
そして、臨也のデスクに、ゆっくりと紅茶の入ったカップを置く。
「遅かったね。」
「そうですか?」
文句を言いながらもパソコンから視線を上げない臨也にへらりと笑いながら、静雄の向かい側に座り、自分の分の紅茶を注ぐ。
目の前では静雄がふぅふぅとミルクティーを冷ましている。
「臨也さんに何か用事があるんですか?」
少し迷った後にゆっくりと頷いた静雄はミルクティーを口にする。
「うまいな…」
「ありがとうございます。」
ほつりと呟かれた言葉が少しうれしくてにこやかに答える。
「静雄さんって甘党なんすか?」
「あぁ、甘いものは好きだぜ。ケーキとかよく食う。」
「いやー意外っすね!!あー羨ましいなあ。静雄さんモテるんじゃないすか?女の子はギャップとか好きなんすよ。」
「そうでもない…」
少し照れたように顔を赤らめながら答える静雄に正臣は調子よく言葉を続ける。
「静雄さんって格好いいし、優しいし、強いすからねぇ…」
さらに口説き文句を並べ立てる正臣に背後から不機嫌な声が聞こえた。
「いい加減、止めてくれないかな。」
いつの間にか2人のそばに来ていた臨也は正臣を睨んでいた。
「あ…臨也さん。」
今、気づいたという表情を浮かべる正臣だが、だいぶ前から冷たいプレッシャーをかけられていたことに気づいていた。
「仕事、終わったんすか?」
「あぁ、終わったよ。だから、もう帰って良いから。」
「残念だなぁ。俺、もう少し静雄さんと話したかったんすけど。じゃあ、またの機会にと言うことで。」
その言葉に臨也の表情が固くなった。
「君さ、分かってると思うけど…」
臨也はそう言いながら、静雄に近づくと隣に座る。
そんな臨也を静雄がなんだ?と不思議そうに見上げている。
「シズちゃんは俺のだから。」
静雄を抱き寄せ口づける。2人を楽しげに見ていた正臣はそっと立ち上がる。
「見せつけてくれちゃって…こんな可愛い人が臨也さんの恋人だなんて、静雄さんが可哀想だなぁ。俺に下さいよ。」
「しつこいな…やらないよ。」
立ち上がりざまにナイフで切りつけてきた臨也を難なくかわした正臣を見て臨也はうざったそうに眉を寄せる。
「君には沙樹がいるだろう。」
「それじゃあ。また、お茶でもしましょうね静雄さん。」
正臣は臨也の言葉に柔らかく微笑むとさっきのくちづけで真っ赤になっている静雄にそう挨拶し部屋を出た。
忌々しそうに毒つく臨也にやっと落ち着きを取り戻した静雄がつかみかかろうと立ち上がる。
「臨也ッ!!手前…ぇ?」
「…シズちゃん?」
その行動は達成されることなく、静雄が崩れ落ちる。
2人揃って呆然としていると静かな部屋に聞き慣れた着信音が流れる。
「もしもし」
『あ、臨也さん?ソレ、お詫びです。2人で楽しんで下さいね。それじゃあ。』
fin.
正臣は紅茶に薬を混ぜてました←
キャラ崩壊すみませんσ(^_^)
正臣が黒い(^-^;
ここまで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
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前サイトより転載