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□邪魔者
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「俺たちが邪魔になる時代ってどんな世界なんだろうな」
いつものように木陰で他愛のないことを話していたとき、不意にきりちゃんがそう呟いた。
「それってどういうこと?」
しんべヱが首を傾げながら問うときりちゃんは困ったように笑う。
「いやさ、俺たちは今、忍者になるための勉強をしてるだろ?その忍者ってのは戦に勝つための道具だから、それが邪魔になるってことは…」
「そうか、戦のない世界ってことだね!!」
「そうそう」
パシリと手を叩いて言ったしんべヱにきりちゃんは正解!!というようにニッと笑った。そして、もう一度、きりちゃんは問いかけた。
「どんな世界だと思う?」
そんなきりちゃんに、しんべヱは先程とは違って即答した。
「おいしいものをいっぱい食べれる世界だと思う!!」
「もう、しんべヱったらそればっかりなんだから」
思わず苦笑してそう突っ込めば、きりちゃんは私へと問いを投げかけた。
「乱太郎は?乱太郎はどう思う」
「そうだなぁ…私は、こんな風にみんなと何時でも笑ってられる世界だと思う。そう言うキリちゃんはどんな世界だと思うの?」
少し考えて私は答えた。それから言い出しっぺのきりちゃんに問う。
「わかんない」
「あらら」
あっさりとした答えに私としんべヱがズルリと転ける。
「きりちゃんが最初に言ったんだよ?」
「いや、そうなんだけどさ。そんな時代がくるなんて想像できないし」
「そうだね」
そう言っていつものようにきりちゃんは笑い、しんべヱも同意するように頷いた。私は、そんな二人を見て少し悲しくなった。
「・・・くるよ」
「「え?」」
思わず漏れた呟きに二人が首を傾げた。
「きっとくるよ!!私たちが邪魔者になる時代。そのために私たちは忍者になるんでしょ?」
「乱太郎…」
私の言葉にきりちゃんはなんだか泣きそうな顔になった。
「そう…だな」
「そうだよ。さぁ、教室に戻ろう。次の授業が始まっちゃう」
私はそう言って、二人の手を引いた。
「ほら」
「おう」
「うん」
きりちゃんはもういつものように笑っていた。教室へと私が駆け出せば、二人も私の後に続く。
――いつの日か私たちが邪魔者に泣る日が来ますように。
fin.
突発的に思いついたものです。
何かあったわけではないけれど、ふと思って口に出た言葉、みんなと話していくうちにちょっと泣きたくなったきりちゃん。
この子たちの未来は決して明るいだけじゃ無いかも知れないけれど…願わずにはいられない平和な生活…
うまく伝えられなくてすみません
最後まで見てくださりありがとうございましたm(_ _)m