SS

□感情制限
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あっちゃんに置いていかれて
意気消沈している小さな背中



それを見て
声をかけないなんてことができなくて



「たかみなー、どうしたんだよ」

ちょっと冗談加減に声をかけても
返事をしないで小さくなったままで



…泣いてんのか


背中を優しくなでながら
小さいたかみなと同じように
かがんで顔をのぞく




顔をくしゃくしゃにして泣いてるたかみな

「優子…」


「…あっちゃんなんか放っといてさ、私と付き合おうよ、たかみな」


「なっ…」


たぶん、私と付き合おうと言われたことの驚きよりも

あっちゃんなんか放っといてっていう言葉の怒りのほうが勝ったんだろうな





恐い顔をしたたかみなは
まるで私を睨み付けるように見た





「あっちゃんもこんな風にさ、悪いやつに絡まれたら守ってやるやつは誰だよ
ほーら、許してもらえるまであっちゃん追っかけなよ」



「わかった」


すくっと立ち上がったたかみなの顔つきは変わっていて
とてもかっこよかった



「あっ、優子…ありがと」



笑顔でお礼を言うたかみな

その笑顔が私に向けられてるものだと思うと嬉しかったりして





付き合おうよなんて冗談でも言えない
こういうときでしか言えないんだ


明日になればあっちゃんとたかみなは
またラブラブなんだろうなぁー



はぁーとため息をついてしまう私に
少し嫌悪感があったりね…



「ゆうちゃん…」

「…こじぱ」


きっと…きっとこじぱも私と似たような気持ちなんだろうなって
わかっていても振り向かない振り向けない




「にゃんにゃん帰ろっか」


それぞれの感情制限


END
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