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□高橋の苦悩
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「ちょっとたかみな、優子あげるー」
陽菜が抱きつこうと手を広げている優子の背中を押すと
ふぉえーとか意味不明な叫び声を上げながら優子が飛んでくる
それを避けきれずにぶつかってしまった
「いってーな、たかみな」
腕を押さえながら何とも言えない顔でこっちを見てくる
「だ、大丈夫??」
まだ微かに赤みがかっている瞳。
「えっ、何でもう泣き止んだかって??そりゃー女優大島優子ですから」
あー、大島さんには何でも見透かされているようですね
「てかぶつかるときさぁー、華麗に抱き締めるとかさーもうちょっとカッコいいことできないのかなぁー??」
ちょっと呆れた口調で子供を見るような目で見つめられる
「あのときは必死だったんだよー」
「たかみなのヘタレっ、指原よりヘタレなんじゃねーの」
「ゆ、優ちゃん、それはないって」
ニヤリと何か企んだ顔つきをしている。絶対アタシの身に何かが起こる!?
「なんでさぁー、今手繋いでるしヘタレじゃないみたいな言い訳しないんだよー」
えっ…言われてみて私の手の先に目線を移すと、しっかり繋がれた手があった
「ちょっ、いつから繋いでんの!?」
「えっ、気づかなかったの??たかみなが大丈夫?とか聞いてきたところで何か私の手をしっかり握ってくれて…」
赤みが少し引いた瞳は、じっと私を見つめている。さっきよりも顔の筋肉が緩んでる
「たかみなのことだから期待してなかったけど…期待した私が馬鹿だったー」
いや…言ってること無茶苦茶なんですけど…。
さっきからヘタレヘタレ言われてるけど今ならいける。そう、大丈夫だ高橋。今なら優子はデレる、間違いない。
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