SS
□心の支え
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家の中はピンクのものばかり。
家に帰れば長い1日の中でやっとAKBの高橋みなみとしての役目が解かれるはずなのに。
それでも、DVDで動きを確認したり…
もしかしたら一瞬たりとも、みなみの頭の中にAKBという文字がなくなることなどないのかもしれない。
たぶんDVD見終わったら、私の話を聞いてくれる。けど絶対耐えきれなくて寝ちゃうんだよね。
「ごめんね、あっちゃん。」
「んー、いいよ」
手早くコーヒーを入れ始める。
豆の匂いが部屋全体に漂う。
私を待たせた申し訳なさからか、自分の眠気覚ましのためなのか…
私の話を聞くより、コーヒーを入れることを優先したみなみを眺めつつ、ある疑問を問いかけてみた。
「ねーみなみ、私たちが卒業したらどうなっちゃうのかな…」
ちょっと自慢気にコーヒーを持ってきたみなみの顔色が変化する。
「…もし、あっちゃん達が卒業したら、そりゃあ不安はあるよ。けどね、私はAKBに居続ける限り支えるから安心して」
微笑む彼女に苦いコーヒーは似合わない。
けどそんな大人な飲み物は似合うんだけど
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