SS
□ゴールライン
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「あっちゃんとは舞台も一緒にしなきゃね」
まるで当たり前のように呟く。
私と優子の目指す道は同じ。
歩いて行く道も多少は違っても大まかに言えば同じ。
けど私たちは決してライバルではない。
二人とも大女優になる。
それは二人の目標だ。
共演するというのは、小さな舞台でも必ず成し遂げたい約束。
「優子が旦那さん役で男装してさ、ネクタイ締める場面は入れたいよ」
「それなら役作りはバッチリだね」
みんな寝ちゃって静まり帰っている楽屋内。
「私たちも寝ますか」
握られた手の温もりを感じながら目を閉じた。
いつまでも、この温もりを手放したくないって思わされた。
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