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□cheater
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(大学生設定)




もうこれで何回目だろう。

大学からバイトで動かし疲れ切った体を引きずって鍵を回して家に帰ると見慣れた部屋の見慣れたベッド。

その上にいるのは見慣れた彼氏と見慣れぬ女。


見慣れてきてしまった光景にため息一つ。



「あっれー?名無しちゃん今日早いネ!」

計算違いだったヨー、なんて素っ裸で笑う男はまごうこと無き彼氏。そばにいる女なんて慌てて服をかき集めている。その焦りを分けてあげればいいのに。


「どっちから誘ったの?」


なんて私たちの部屋にいる時点で答えは決まっているが聞けばあっけらかんと「俺だヨ!」と言う覚。

怒りすら通り越してもうため息しか出てこない。


「あっそ。あ、もーいいよ服着なくて」


慌てて服を着ようともがいていた女の子にそういえばぽかんとした目でこっちを見る。

同じように覚もその大きな眼をさらにおっきくさせて私を見上げた。



「もーいいってどゆこと?」


きょとりと首をかしげる覚を横目に私は兼ねてから用意していたキャリーをクローゼットの奥から引っ張り出して玄関に向かう。


「そのまんまの意味。もう疲れたしいいよ」

すたすたと歩けばそのままぺたぺたとついてくる音が聞こえるが無視。下着と服がまだ何着かあるけど買い換えよう。取りに戻るのも嫌だ。あぁまた散財してしまう。



「なぁにそれ、別れるってこと?」

ドアを開けようとした手をドアノブごと包まれ上からぬっと見下ろされる。


「そうだよ、もう終わり。ここでたら二度とかかわらないし、関わってほしくもない」


これ以上傷つきたくないし疲れた。だから別れる、そう言えば。


「終わり?ほんとに?ここを出たら??」


「いッ…!」


いきなり力が強められ、ぎゅう、とドアノブごと潰されそうな錯覚に陥る。手を話そうとするも覚の手がそれを許さない。


「はなし…ッ「じゃあ」?!」





『もう二度とここから出さないようにしないとネ』


その言葉が聞こえた瞬間、日常では聞かない音が私のおなかから聞こえた。


いや、私が殴られた音だ。



玄関に倒れ込む痛みよりも走る激痛に目がかすむ。


痛みに引き攣られるように途切れそうな意識の中見えたのは付き合い始めたころの表情の覚だった。












(18/03/16)


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