短編:inzm

□愛ってなにさ。
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うちの学校で「サッカー部」と「女たらし」という二つのキーワードで検索をかければ出てくるであろう奴、約二名。

そのうちの一人、隼総が私は苦手だ。嫌いといっても過言ではない。誰が何と言おうともこの認識を改めるつもりはないであろう。大体女たらし、とい時点で奴のイメージは私の中で既に地の底にへばりついている。おまけにあの性格。傲慢知己でありなまじ実力があるせいか好き勝手し放題。
私とは人種が違う、波長からして違う。相容れないし、容れたくもない。それくらい奴が嫌いだ。


「おい、お前」

廊下を歩いていれば後ろで誰かが誰かを呼んでいる。が、相手からの返答は無し。おい、誰だかしらんが返事くらい返してやれ。


「お前だよ」

すまん、全力で無視っていいだろうか。

「…なんだ」
無視しようにも腕を掴まれたため、答えるしかなくなる。腕を掴んだのは私が嫌いな隼総。なんだ、私に何のようだ。つか腕を放せ、不快だ。


「聞いたんだけどよ、お前、俺が嫌いらしいな」

「そうだが、それがどうした。用がそれだけならさっさと腕を放せ、不快だ」

刺々しく返答すれば一瞬目を見開いた後紫色した唇が弧を描く。毒々しい紫色に吐き気を覚えた瞬間、腕を引かれたと思えば唇に温かい感触。

感触が離れた、と思うと同時に廊下中に響きわたる女子の悲鳴。しかし当の本人はそんなことも目の前の私の表情が酷く歪んでいようが気にしないようで、また唇を歪ませて呟いた。



ー俺にー
(惚れさせてやるよ)
(…本気で殴っていいだろうか)




意味不明。
たらし二人目は言わずもがな星降であろう。隼総はすんごいたらしだといいな。
 

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