短編:inzm
□依存する僕を獣のような瞳で犯して
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ゴッドエデン。
聞こえはいいシード養育施設の最高峰。此処に入ってもうどれくらい経つだろう、そんなことを考えていれば今日の特訓はいつの間にか終わっていた。
「お呼びですか、牙山教官。」
特訓のあと直ぐに牙山に呼ばれ教官室へ入るとそこには牙山ともう一人。
「貴様も呼ばれたのか」
「おや、白竜じゃないか」
白竜がいた。
なぜ白竜もいるのかという疑念を抱きつつ牙山に向き合う。
「来たか、お前たちを呼んだのは他でもない。最強のチーム"ゼロ"を創り出すためのチーム"アンリミテッドシャイニング"のキャプテンをどちらかに努めてもらう」
牙山の言葉に白竜のテンションは上がったようだが俺は逆にだだ下がりだ。めんどくせぇ。
「で、選抜方法は「俺は辞退させていただきます」…なんだと?」
「どういうことだ」
辞退する、といえば牙山と白竜、双方が睨んでくる。
「まずやる気すら起きませんね、説明も無しに。以下どのようにアンリミテッドシャイニングの選手選別を行うかもわかりませんし、まず選抜方法も荒そうですから」
化身も出すのめんどい、と思いつつそういえば少し唸ったあと牙山の携帯がなる。相変わらずタイミングのいい。
「…はい、と申しますと……はい、はい、わかりました」
話し相手はおそらく聖帝。どこでみてるんだ、あの人。
「もう下がってよい。白竜もあとでもう一度召集をかける」
「はっ。失礼いたしました」
「失礼しましたー」
間延びさせながら教官室をでる。暫くお互い無言で話していたが部屋に帰ろうとした瞬間腕を捕まれる。
「なに?」
「なぜ、自ら辞退した」
ぎん、と睨みつけてくる白竜に内心めんどくせ、と思いつつ腕を払う。
「理由ならさっき言ったとーり」
「貴様はなぜ最強になれる力を持っていながらなりたいと思わない!!」
通路で白竜が大声をあげたお陰で周りが何事かとこちらに好奇の目を向ける。ち、めんどい。
「じゃ、部屋で話してやるよ」
辞退の理由。
そういって部屋への道をたどれば大人しくついてくる。部屋にはいると同時に「さぁ話せ」ときた。
「白竜さ、俺の後に入ったから見たこと無いよな」
「なに、を…」
もぞもぞ特訓で汚れた服をぽいとその辺に脱ぎ捨て上半身裸体でなにかをいいかけた白竜の方を向けば動きが止まる。
「その、傷…」
白竜が見ている俺の身体には無数の傷。小さいものや大きなものまで様々だ。現在は傷がつくなんてことはなくなったがこの身体は誰が見ても気持ち悪いだろう。
「全部あの特訓さ。ま、なかには今はもう危険すぎて廃止になった特訓で付いた傷もあるけどね。…俺はねフィフスが完全始動を始めた三年前よりも早く此処に入れられたんだ」
固まったままの白竜にそう言いながら続ける。
「まだシードなんて数が居なかったから様々な特訓させられたよ。…実験台としてね」
「…実験台?」
そう呟く白竜に、にんまりと笑顔を向ける。
「そう例えば"ヒトはどの程度の痛みを持ってすれば何処まで身体は持つのか"とかね」
「っ…」
息を飲む音が聞こえる。今でこそ弱者は切り捨てられるだけで済むけどあの時だったら実験台送りにされて泣き叫んでも精神が擦り切れてもボロぞーきんのような扱いを受けながら過ごしていくんだよ。
「そんな実態を知ってるからやらないし、やりたいくないの。俺は」
力なんてありすぎたら災いしかもたらさない。余計な力は余計なものまで引っ張ってきてしまう。
おわかり?と聞きつつ背を向け服を着ようとすれば白竜に後ろから抱きつかれた。は、なにこれ。どういうこと?
「こんなになるまでやって…得ようとして得た力でないにしろ、貴様にはシードとしての役割がある。」
腹に巻き付けていた腕が少し離れ傷をなぞり、ぎりっと爪が立てられ顔が少し歪む。いっつ、加減しろよ…。
「役割があるのにそれを自ら捨てるなど、俺が許さない」
「いっ…!」
首筋に顔を埋めたかと思えばがりっと首筋に歯を立てられる。予想もしなかった思わぬ痛みに身体が跳ねた。
「あにしやがんでぃ…、もういい。とっとと部屋帰れ」
密着していた身体を話しつつ白竜は続ける。
「忘れるな、俺たちは望む望まぬとも此処にいる限りシードだ。その中でもトップクラス、トップはトップの役割を持つ。」
次忘れたらそれだけで済まさない。
そう言い残して白竜は部屋を出ていく。
替えの服を着て鏡をのぞき込んでみれば首筋にはっきり歯形がついていた。
「あーあ、完璧歯形じゃん」
忘れるな、か…
ーいっそー
(俺を潰してくれりゃあいいのに)
はい、意味不明ですね。
昨日映画見に行ってきました。白竜まじイケメン。ふさおふさふさwそしてシュウがかわいかった。
(120105)