短編:inzm

□兎が草食だとは限らない
1ページ/1ページ



シュウは可愛い。
見た目からしても、性格からしても、全て可愛い。



「シュウ可愛い」

「名前の方が可愛いよ」



可愛いと言えば目の前でリフティングをしたままのシュウに可愛いよ、と返される。…シュウが言うと嫌みにしか聞こえないのは何故。



「あーあ、あたしもシュウみたく可愛かったら良かったのになー」


「どうしたの、いきなりそんなこと言ってさ」



どさり、と原っぱの上に大の字になって寝ころぶあたしの顔をシュウがひざを突きながら覗き込む。あー、凄い目ぇくりくり。女の子みたい。



「どうしたの、一体」


目をぱちぱちさせながら聞いてくるシュウ。だから仕草可愛すぎるって。


「だーって、可愛かったら白竜にアプローチ出来るじゃない」


「…白竜に?」



アンリミテッドシャイニングのキャプテン、白竜。あたしの密かな憧れ、あーもうこの前の鍛錬ほんとかっこ良かった。あんな彼氏、ほしーな。…まぁゴッドエデンにいる限り無理なんだろうけども。



「だから、シュウみたく可愛かったらなー、ってあれ?シュウ?」


むくり、と起きあがろうとすればシュウに肩を押さえ込まれ地面に逆戻り、あれれ。シュウどしたの。



「可愛いのは君だよ、名前。そのままで充分可愛い」


「え、シュウ。ほんとにどうしっん…」



シュウにかけようとした言葉は突然、唇を塞がれたことにより不可能になった。

くちゅ、とシュウの舌があたしの舌を捕らえちゅうっと優しく吸い上げる。舌と舌が絡まる度に、どちらとも分からない唾液が口の端から顎に向かって伝う。


「んっ…は、ぁっ」

「可愛い、こんなに可愛いのにこれ以上可愛くなったら駄目だよ」


ようやく唇が離されたときには息も絶え絶えになっている。シュウはけろり、とした顔で自分の唇を舐めた後あたしの唇の端に流れていた唾液をぺろりと舐めた。

え、ちょっと待って。状況掴めてない。


深く長いキスによって遮断されていた脳をフル回転させてようやく現状を理解した。と同時に恥ずかしくなってくる。



「あんまり、可愛い顔で白竜の話ばっかしてるとさ」



シュウがいつもの可愛い笑顔で微笑んだ。



ー食べちゃうよー
(シュウ、草食系男子かと思ってたのに…っ!)
(あはは、所謂"ロールキャベツ"ってやつかな)





シュウくん、可愛い。見た目草食、中肉食なシュウが大好きです。中身草食はむしろ白竜だと思う。見たまんまな中身でも好きですが。



(120106)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ