MHA中編
□くん
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あぁぁあ…まさか、まさかこのドキドキが恋だったなんて…!憧れからの昇格ってあるんですね…!!!
あっても顔を合わせてないと元も子もないんでしょうけども。
あの後、緑谷くんを振り切り自宅に帰りホッとしたところで発熱。慌てたお母さんに布団に放り込まれました。疲れが出たのか、精神的にホッとしたのか…それとも自覚した恋心のせいなのかは判断はつかないのですがそれでも緑谷くんに会えなくて残念な反面、ホッとしてる部分もあります。
前まで私が抱いていた感情は『憧れ』で、今自分が緑谷くんに対して抱いてるのは『好意』、憧れと似て異なるものでそこからくるものは恋愛感情。見てるだけで良かった、なんて自己満足だけじゃあ済ませられなくなって…
「(見てるだけじゃなくて…自分も見て欲しいだなんて…)」
初めての感情です。
緑谷くんのあの瞳で見つめられたら私どうなってしまうんでしょうか…。そっと瞼を閉じて布団を被り直し想像してみます。緑谷くんが私の目の前にいて、私の目を見て…
「やだやだやだやだ!!なんか恥ずかしいですこれ!」
そこまで想像したところで羞恥がむくむくと沸き上がり慌てて起き上がる。もう!こんなに恥ずかしいのですか、見てもらうってことは!!
「…でも」
ぽふん、とまた柔らかい枕へ頭を落とす。
「緑谷くんには…そんな風には見てもらえないんでしょうね…」
一直線で前を見て進もうとしている彼のことです。例え他の事があっても緑谷くんは私をそんな目では見てくれないでしょう。なんとなく、なんとなくそんな気がしてます。
「…なんて、ネガティブになっててもしょうがないです!寝ましょう!!」
ばふっ!と布団に潜り込むと頭と瞼が重くなってくるのを感じ、その感覚に抗う事なく意識を飛ばしました。
さて、どうしましょう…
なぜ、なぜ…起きたら緑谷くんがいるのでしょうか…!!!!
うっすら人の気配を感じ、薄目であぁなんだお母さんがタオル変えてくれてるのかー、なんて思ってたらまさかの緑谷くんですよ!なんでですか!!お母さん家に上げたんですか、てかそもそも誰が家教えたんですか!!
言いたいことは山ほどあるけれど、それより緑谷くんがさっきから目線を逸らしてくれません…!起きてしまって、尚且つバッチリ目線があってしまった以上二度寝なんてしたら不自然極まりない。どうしよう、どうしたらいいんです…!
「あの…みょうじさん、?」
「は、はい…、?」
内心暴れるくらいばたばた困惑していると少し困った様な顔をした緑谷くんが声をかけてくる。あぁ…そんな顔させてしまって申し訳ない…!!
「ご、ごめんね、いきなり来ちゃって!熱出して学校休みってきいて…、」
「いえ、…あの、その……お見舞い、有難うございます…」
ただタイミングの問題なんでしょうけれどそれでもお見舞いにきてくれたという事実にほんのり頬に熱が集まるのがわかる。なんだか胸のあたりがきゅうきゅうしてきます。
「みょうじさん、に」
言いたいことがあるんだ。
そんな風に切り出してきた緑谷くん。その目はあの時、入試の時の0Pヴィランに対峙したときの目と同じで。
私はなんとなく、本能的に先の言葉を思い浮かべたのです。
あれから数日。
はい、フラれました。フラれたという言い方をしてもいいのか解りませんがフラれました。
あの状況(私が赤面して逃げ出した時)を見ていたクラスメイトさんに「お前のこと好きなんじゃね?」といわれ、お見舞いにきたときに、気持ちを確かめろ!と言われたそうで。そして私に問い、私がそうと答えたところで緑谷くんが爆発するように顔を真っ赤に染めました。…正直な所そんな様をみたらイケると思いませんか。
「有難う…でも、ごめん。…僕は、まだまだ、やりたい事…やらなきゃいけないことがあるんだ、」
そんな一言貰ってしまったら、諦めざるを得ないでしょう。なんとなく、そんな予感もしてました。だって、それを告げた時の緑谷くんは、
「あ、緑谷くん!おはようございます!!」
「お、おはよう、みょうじさん!」
私が好きになった時の表情でしたから。
だからといってストーカーは辞めませんけどね!!!!
いつか見てくれるまで彼女はストーカーするんでしょうか。きっとしてますね、迷惑かけないように!ここまでお付き合い頂き有難うございます(°▽°)
15/08/03