もんくありげな
かげろうに

ざまあみろよって
わらったら

じつによくある
なつのひのこと

そんななにかが
ここでおわった



口ずさんでいたのだ、とつっこまれて初めて気がついた。


「…そんなにおかしかったか?」

「いんや。凄まじかっただけだ」


そいつは金の瞳を眇めてオレを見つめた。
いつも通りの屋上。
座っているオレを彼は仰向けに寝転がったまま見上げている。


「凄まじい?」


おーよ、と彼は頷いた。


「メロディは普通に良い感じで歌詞もサビまでは普通なのに…!サビの歌詞おかしいだろ!」

「そうか?」

「水色からいきなり真っ赤だぞ!茫然としたねオレは!」

「だがそれがこの曲の真骨頂だ」


オレの答えが気に食わなかったのか、彼は唇を尖らせる。
――かわいらしい。


「そーですねー……つーわけで全部聞かせろ」

「は?」

「今の歌聞かせろって言った」


思わず吹き出す。
彼はさらに仏頂面になる。


「なんだかんだ言いながら気になってたのかお前」

「っ、ち、が、う、わ!いいから聞かせろ!」


なんだこいつ。
やっぱりおもしろい。
くっくっと笑いながらウォークマンを取り出し片方のイヤホンを差し出す。


「ほら」

「……おう」


頬が心なしか赤い。
彼には失礼だがほんとに笑える。
反応がいちいちかわいいのだ。
それがいけない。
再生ボタンを押す。


軽快な前奏が流れ出した。



*
ボカロパロ。すいません好きなんです。

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