10万打企画
□高月様リクエスト
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□不届き者たちの意地□
「#name#殿ー」
爽やかな笑顔で手を振りながら近づいてくる趙雲。
「……」
対し、目元に影を作って、十文字槍を真っ二つに折らんばかりの勢いで握りしめるのは幸村。
「あっ、はいっ」
幸村と手合わせしていた#name#は驚いて刀を持つ手をビクッと震わせる。
ついでに彼女はわずかに青ざめると、幸村と趙雲を交互に見遣った。
そんな#name#の目前まで来た趙雲は、爽やかに笑ったまま、彼女の腰に手を回すと、引き寄せる。
「そろそろ鍛錬が終わる頃かと思い、お迎えに参りました」
「あの、ちょ…今汗ひどいんで…」
近くに寄った端整な面持ちに、わずかに赤面しながら、遠まわしに「離れてくれませんか」と言ってみた。
趙雲はそれを汲み取っているのかそうでないのか分からぬが、「おや」と言って更に近寄る。
「ならば共に水浴びに参りましょうか」
「共に!?いやいや、何サラっととんでもない事を…!遠慮しときます!
それに私、今から馬超さんと遠乗りの約束が…」
「ああ、馬超殿なら吊るし上げ……いえ、彼はお腹を壊したそうなので、今日は来れぬとおっしゃっておりましたよ」
「え…?趙雲さん、今吊るし上…」
「ですから今日は私と参りましょう。
ああ、汗などは全く気にしませんので。むしろ汗ばむ貴方も素敵だ」
「……」
絶句したまま、身動きが出来なくなった#name#。
どうしようかと考えていると、不意に風を切る音が聞こえ、金属同士がぶつかる音が響く。
「趙雲殿〜…」
「如何した、幸村殿」
今まで空気と化していた幸村の十文字槍と、趙雲の竜槍がぶつかったのだ。
気で人が殺せそうな勢いの幸村と、器用にも片手で#name#の腰を抱いたまま、もう片手で槍を握り、幸村と鍔ぜり合っている趙雲。
「…!?…!」
驚きの連続で、言葉も発せなくなってしまった#name#は、ただただうろたえるばかり。
「#name#を汚さないでください!」
「はは、何を申される。
#name#殿を私色に染めるのがこの世界での唯一の楽しみゆえ、それは聞けない」
「〜〜!さっ、さような不義、許せぬ!」
「幸村殿、危ない。#name#殿に当たったらどうされる。嫁入り前の大切な体だというのに」
「一から十まで不義だ!いざ、尋常に勝負!」
「ふふ、望むところ」
それは、どこからどう見ても異様な光景であった。
鍛錬の後、私は汗を流すために蜀にてお風呂を借り、浴槽につかりつつ、大きくため息をついた。
「うーん…」
口元までお湯につかり、ポコポコと泡を立てる。
お風呂からあがったらどうしようか。
とりあえず趙雲さんに見つからないように帰っ……
いやでもあの人、この前三成さんの部屋にまで突入してきたもんなあ…。
『#name#殿ー、遊びに来てしまいましたーっ』
『あああっ出たあああっ』
『うぉぉっ、何だ貴様は!って、趙雲か!
貴様、土足で俺の部屋に入るな!』
『大丈夫です。#name#殿がこれに記名してくださったらすぐに帰ります』
『コレって、やだ婚姻届!』
『これに互いの名を記名して拇印を押すだけで、夫婦(めおと)になれる。なんとも素晴らしきものです。
というわけで、よろしくお願い致します#name#殿』
『やですよ!ちょ、うわああ!やめてええっ!無理矢理押させようとしないでえええっ』
『諸葛亮殿もこの縁談が成功するよう、祈祷してくださっているのです。応えねば』
『なんて無駄な祈祷!うううっ、力強おおおっ!やめてやめてやめてえーっ』
『やっ、やめぬか趙雲!』
『駄目ですか?』
『『駄目に決まっているだろう!/でしょう!』』
なんだかアレ?
おかしいなあ…。
趙雲さんってあんな人だったっけ?
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