10万打企画

□高月様リクエスト
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□真の苦労人□


「あれ?」

馬超さんと馬の手入れをしていると、彼の頬に切り傷があるのに気付いた。

「どうした?」

「馬超さん、ほっぺた」

私は黒駒をブラッシングしている手を止め、自分の頬を指して傷の存在を知らせる。

「頬?ああ、この傷か」

わりと新しい傷のようだが、馬超さんは別段気にしていないようだ。

「結構深いですよ。もしかして、戦で?」

「ん…いや、実は記憶がないのだ。この傷がつく直前まで趙雲殿と話していたのは覚えているのだが…」

そこまで語って、ふと思い出したのか、馬超さんはポンと手を叩く。

「そうだ、たしか#name#と遠乗りに行くと話していた時だったな…。趙雲殿の目が光った気がしたのだが、そこから記憶がない」

「……」

それってまさか、あの時の…。

「あの時は悪かった…。起きたらもう朝だったのだ」

「あっ、いえいえ!気にしないでください」

だって馬超さんのせいじゃないし…ねえ…。

何故だか私が申し訳なくなって、何となく空いた手をポケットに突っ込んだ。

そしたら何か紙のようなモノが手に触れる。

「あ、バンソウコウ…。
そうだ。馬超さん、ちょっとかがんでください」

「ん?なんだ?」

かがんだ馬超さんの頬に、ポケットから取り出した絆創膏をぺたっと貼り付ける。

「はい。早く治るとイイですね」

微笑めば、馬超さんは絆創膏を貼った頬に手を宛て、目を見開いた。

「#name#…!」

突如両手を掴まれ、何やら目を輝かせた馬超さんは、興奮したまま声を張る。

「なんと優しい!お前のような優しい者は初めてだ!」

「……初めて?」

「ああ!」

そう言えばこの人、真冬に諸葛亮さんに水をぶっかけられたり、火計に巻き込まれたり、馬に引きずられたり、毒沼に浸かったり、城の天辺から突き落とされたりする人だった……。




一体この人、蜀ではどんなポジション…?




私は不憫さに涙をこらえ、未だに興奮して私を褒めちぎる馬超さんに「あはは…」と苦笑いを向けた。














「#name#殿ー、浮かない顔して、どうしちゃったの?」

城の回廊の窓より、ため息を落としながら庭を眺めている時だった。

ポンと肩に手がふれ、振り向いた先には馬岱さん。

「あ…えと…どうも」

「はいよお。こんにちは」

陽気な声に、思わず頬がゆるむ。

馬岱さんは隣に並ぶと、窓から身を乗り出し、「んー」と声を漏らした。

「外を見てたけど…何か見えるの?」

「え、ええ。庭が」

「ん〜、ホントだねえ」

「……」

のんきな人だ。

馬超さんとは正反対。

そう、馬超さんと……

はぁぁ〜、と、かなりながいため息をついてみると、馬岱さんは心配して私の顔をのぞき込んだ。

「#name#殿、どうしちゃったのさー。元気ないよ?」

「……」

この人だったらもしかしたら馬超さんの扱いのひどさについて知っているかも…。

というか、きっと知っているよね、従兄弟だもん。

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