10万打企画

□雛南様リクエスト
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□○○につける薬□

※注意
・際どいです
・もう一度言います、際どいです
・年齢制限はございませんが、もし苦情が寄せられた場合、すぐさま対処しますゴメンナサイ
・原作のカッコイイ元親さんをお求めの方は、申し訳ございませんが閲覧をお控えください




だだだ大丈夫ですかっ?



「大丈夫だ」という寛大な方はどうぞ!








―――――――――





わずかに開けた自室の襖の隙間より、キョロキョロと左右を覗く。

いけるかな。

いけるよね。

うん今度こそ大丈夫。

「……」

もう一度、横断歩道の渡り方を習いたての子どものように、再三再四、左右確認。

一応上方も。

いやさすがに上にはいないか。

最後の最後にもう一度……

よし、あの人はいない。

「逃げなきゃ…」

う…っと、込み上げて来たものを、口元に手を宛ててやり過ごす。

咳も然ること、頭痛に吐き気に関節痛に、風邪をひいてしまった体を襲う様々な症状に、目眩まで襲ってきた。

だが、それらの苦難を乗り越えてでも、私は自室から逃げねばならないのだ。

いや正確にいえば"今度こそ"逃げなければ、私の体と精神は持たない!

確固たるその決意は揺らがない。

はぁっと、少し動いただけで襲ってくる息切れと闘いながら、必死に部屋の外へと出る。

よーし、このまま逃げ――

「どこへ行く?病人ならば、大人しく寝ておかねば」

「!」

グイッと背後から抱き寄せられた瞬間、風邪の症状とは全く違う悪寒が全身を包んだ。

「もっ元…ちか…さ……っ」

コホッと出た咳を聞いたのか、元親さんは「ほら」と言って私を横抱きにする。

「部屋へ戻るぞ。薬も持ってきてやった」

「な、何の薬ですか?」

「風邪薬」

室内に私を連れ戻した彼は、少し行儀悪く足で襖を閉めると、敷いてあった布団に私を寝かせた。

「それ本当?ほんっとーに風邪の薬?」

「……恐らく」

「恐らく!?ちょ、冗談じゃな……ゲホッケホッ」

布団の脇に座った元親さんとは反対方向に体を丸め、何度も咳き込む。

ただでさえ苦しいというのに、この人の相手をしてしまっては尚更…。

「ほらまた咳が出てきてしまった。だから動くなと言ったのに」

「誰のせいでっゲホッこんな事に……コホッ」

でも、しばし背をさすってくれてたおかげで大分楽に……

「可哀想にそのように咳き込んでしまって。さぞ苦しかろう。
そうだ俺に移せ。すぐに良くなる。さあ俺の方を向け」

なってない。

もういっそアンタを楽にしてやろうか、と恨みを込めて元親さんを睨んだつもりだったが、ヒュー…と喉を鳴らしながら涙目で睨んだ所で逆効果なのだと、どうして気づけなかったんだろう。

「そう艶かしく誘うな。だが積極的な#name#も嫌いではない。むしろ扇情的でいじらしい」

ゴフッと吹き出す。

またゲホゲホとむせながら、(こんな変態を除いて)誰もいない日に、運悪く風邪菌に気に入られてしまった自分を呪った。














前の風邪…というか流行病の時もそうだったが、私は人が少ない日に限って風邪をひいてしまうようで…。

今回もだ。

しかも今日は両兵衛さんと元就さんもいないから、たまたま遊びに来ていた元親さんに看病されるという、とんだ死亡フラグを立ててしまった次第です、はい…。

看病自体はとってもありがたいです。

その感謝を伝えるべく、両手を合わせて満面の笑みで

「ありがとうございます、元親さん」

って爽やかに言いたい。

でもこの人、さっきから寝込む私の上に乗ってこようとするわ、顔を近付けて「俺に移せ」とか何とか抜かすわ…。

逃げようとしても、先程からすぐに捕獲されてしまうし、どこで見張ってんだこの人。

ちょっともうヤダ、まともな人いないんですか?

滝のような涙が枕に染み込んでいく。

「#name#、苦い薬は飲めるか」

「え…?あ……はい、大丈夫です」

ちょっとだけ元親さんが大人しくなったと思ったら、何てマトモな質問を…。

逆方向を向いて寝転んでいた私は、突拍子もない質問に驚くと同時に、少しだけ安堵して、寝返りを打って元親さんを見遣った。

湯呑の中に、薬包紙よりサラサラと粉を流し込んだ元親さんは、「ほら」と言って私を起き上がらせてくれる。

「すみません、助かります」

って言って、差し出された湯呑を覗き込むんだけど……

あれ、おかしいな。

ゴシゴシと目をこすって、もう一回元親さんが差し出す湯呑を見る。

 
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