10万打企画

□紫音様リクエスト
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「なっ、おい何を笑っているんだ」

「あはははは、いえ何も。髪質は全然違うのになあ、って」

「何の話だ!髪の事は言うなっ」

ケラケラ笑いながらも、何とか手当を終わらせた私に対し、鍾会さんは眉根を寄せてむぅっと不機嫌になってしまう。

必死に笑いを抑えて謝っても機嫌は直らなかったが、横目でこちらを見た鍾会さんは「ところで」と言った。

「ん?」

「お前は何故追われている?」

「だからこの前話した通りで…」

「その"この前"の話が理解出来なかったと言っている」

そう言えば鍾会さん、半分も事情を理解してくれなかったな…。

いやいや、これも全て司馬懿師匠のせいなんですけどね。

「うん、何と言いますか、師匠がね…」

「師匠?」

「えっと、司馬懿さんがね、息子さんの行く末を心配した結果なんですよ」

一から話すと、姜維さんと諸葛亮さんがどうのこうの、それでいきなり司馬師さんに話が飛んで…

と、かなりぶっ飛んだ話になるから、何とも説明しがたい。

「……それで、どうしてお前が追われる羽目になる?」

「……」

「おい、何故そんなに顔を青く…」

司馬懿さんに部屋に運ばれて、司馬師さんに迫られた時の事を思い出せば、顔面蒼白になってしまうのも無理ない。

「……つまりね、司馬師さんの嫁にならないか、っていう話……」

「う……」

気の毒な…とでも言いたげに私に向けられる瞳。

私は顔を覆って大げさに「うわあっ」と泣いてみた。

「どーにかなりませんかね、鍾会さんっ!」

「な、ならないだろう、さすがに。私に助けを求めるな。かくまうだけでも精一杯だというのに…」

「そんな冷たいこと言わないでっ!
このままじゃ三食肉まんになってしまう上に、あの司馬懿さんを『お義父さん』って呼ばなきゃならなくなるんですよ!」

「辛いな…」

「でしょう!?」

「しかし、為す術もない。もう諦めるしか…」

「それってつまり、司馬師さんに大人しく(自主規制)や(自主規制)されろってこと……むぐっ」

取り乱した私がついつい爆弾発言を連発したら、真っ赤になった鍾会さんが口を押さえてきた。

「言うな言うな!そんな品のない言葉っ」

同時に、背後に支えるものが無かったため、二人とも均衡を崩す。

そしてよろけて倒れた先には寝台があったらしい。

ドサッという音と共に背に衝撃を感じ、寝台の布が体の形に沈む。

必然的に、勢いのあった鍾会さんが上になって、さながら私を押し倒したかのような状態になるのだが、突然の事に状況が理解できず、二人とも目を丸くした。

「あ…の、すみません、足元がフラついて…」

「い、いや、私もすまな…」

珍しく鍾会さんが謝るか、と思った刹那、バタンと開いた扉と、突き刺さるような殺意に、二人とも体を震わせる。

「「……」」

「「……」」

恐る恐るそちらを見遣ると、そこにあったのは二つの人影。

「性懲りもなく、貴様は……」

司馬師さんと

「#name#が助けを求めているような気がして来てみれば…」

綾さん。

司馬師さんを見て青ざめた私以上に、鍾会さんは二人を見て、この世の終わりみたいな表情を晒した。

「随分と良い雰囲気だったようだが」

「ち、違…っ、私は…」

一歩、と司馬師さんが近寄った瞬間、鍾会さんは冷や汗まじりに私の上から退き、慌てて首を横に振る。

「ふふ、鍾会…私の#name#に手を出すことがどれほど愚かな事か、教えていませんでしたね」

「あ、綾さんっ、違うんです!鍾会さんは…」

私も慌てて体を起こして弁解しようとするが、同じく一歩こちらに歩み寄った綾さんの張り付いたような笑みに、喉が張り付いてしまった。

「「う…わ…っ」」

よくよく見れば、二人の利き手には、武器が握られていまして…。

サーっと恐怖に染まっていく私たち。

ことさら鍾会さんは顔を青くする。

「ぬ、濡れ衣だっ」

二人により塞がれた扉からは逃げられぬと判断したか、鍾会さんは背後の窓より逃走した。

「待て、逃がさんぞ」

「逃がしませんよ、仕置きを受けなさい」

私の髪がなびくほど、早く、激しく…。

ヒュンと一瞬にして見えなくなった二人に、私はもうどうしようもなくなる。

次のお詫びは何にしよう…

なんて考えながら、心の中で鍾会さんに土下座したのだった。















――――――
お礼


紫音様、企画へのご参加とリクエスト、ありがとうございます!

鍾会さんと綾御前との絡みとの事でしたが…
うぅぅ…鍾会さんとの絡みが断然多くなってしまいました…申し訳ございません!

『この親にしてこの子あり』を読んでくださったようでしたので、それの詳細というか、少し後の話を書いてみました。

鍾会さんはツンツンしているけどマトモな人だと良いな、という願望というか妄想というか…。爆発してしまいました。

鍾会さんと綾さんの絡みは、是非ともOROCHI2編でも書きたいな、と思いつつ…。


なんだか消化不足な作品になってしまいましたが
このようなもので宜しければお受取りください(*´`*)

リクエスト、有難うございました!
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