*おはなし*
□恋するとはこういうことC*わからないよ*
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「井上!」
「へ?」
あたしのアパートの前で、あたしを呼んだのは…
「黒崎…くん?」
「…おう」
*わからないよ*
何で黒崎クンが
あたしのアパートの前にいるんだろ?
え?
蜃気楼?
うそ?
あたし、そんなヤバい精神状態?
ソコまで行っちゃった?
あたし??
あぁ〜、
もうコレは確実に月曜日までに療養しなくちゃ…
こんなんじゃ
本物の黒崎クンにも朽木さんにも会えないよ〜。
頭を両手でポカポカ叩きながら
蜃気楼の黒崎クンの前を通り過ぎようとする。
「おい?」
うわぁ〜、声までリアル!
「いのうえ〜?」
あたしの蜃気楼レベルもここまできたら、
もう芸術だね♪
パシッ!
「井上!」
蜃気楼の黒崎クンが、あたしの手をつかんだ。
「すごいっ!?蜃気楼って実際は触れられるのっ?!」
「いや、蜃気楼は触れられねえだろ?」
「えっ?!だって、今こうやって触れられてるよ?」
「イヤ、俺は蜃気楼じゃねえし」
「へ?じゃあ…誰があたしの腕を?」
「俺のこと忘れましたか?井上さん?」
あたしの前にいて…
「……黒崎クン…?」
「おう…」
あたしの腕をしっかり掴んでいるのは…
「…黒崎クン!」
「うん…」
……
………ひゃっ!!!!