*おはなしA*

□*鼓動はあなた*
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†*†*†*†*†*†*

※両思い設定。

†*†*†*†*†*†*



あなたと同じ気持ちなのかな?

どうしよう…


ドキドキが止まんないよ…。




*鼓動はあなた*





思いっきって告白したのは高3の11月。

二学期も終盤に入り、受験が本格的になる前に…
…てか、モヤモヤしていた気持ちに区切りをつけたくて…


少し風が冷たくなってきた放課後の屋上。

『好きです』
って

たった一言。


黒崎クンは目を丸くして、あたしを見つめてる。

フラられる覚悟でいた。

でも、黒崎クンの口からでた言葉は
『こちらこそ、よろしくお願いします』
だった。


なんだか、あまりにもお互いに予想外な事態と結果で
2人でお互いを見て笑いあってしまった。




†*†*†*†*


お付き合いは始めたというものの、あたしたちは受験生…。

毎日の補習や補講で、放課後もなく…。


「黒崎クン!」

「お?」

「黒崎クン、今日は?」

「あぁ〜、俺は数学と現国…。井上は?」

「あたしは、化学かな?」

「そっか」

「また、バラバラだね…」

「コレばっかりは仕方ねぇしなぁ…、俺は2時間だし…」

はぁ〜、また今日も…

「自分の補習終わったらすぐ帰れよ、俺は何時になるかわかんねぇし。あっと言う間に外も暗くなるし危険なんだから」

「…うん」


一緒に帰りたいなぁ…



土日も……、
みんなで勉強会したりで…


結局、二学期は
なかなか
『2人の時間』が
出来なかった。








「井上!」

「黒崎クン♪」


二学期最後の日。

…今日は補習はない日♪


「終わったか?」

「うん!今、HR終わって帰れるトコ♪」

「そっか!…じゃあ」
「あ〜〜っ!いたいた!」

?!!

「啓吾?!」


浅野クンが大きく手を振りながら廊下を走って、あたしたちのトコロにやって来た。

「やっぱり、井上さんのトコロにいたんだ〜。話しかけようと思ったら、もう教室にはいねえんだもん」

「なんで、俺がおまえ待ちしなくちゃいけねぇんだよ。…で、何?」

「あ、そうそう!今日は補習無いんだからサ♪今から、カラオケみんなで行くんだ!一護たちも行くだろ?」

「あ〜…」

カラオケかぁ…

でも…


「井上さんも行こうよ♪有沢たちも一緒に行くし♪」

「…え?」

たつきちゃん達も行くんだ…

「ね!ね!行こうよぉ〜、一護ぉ」

あたしは背の高い黒崎クンを、下から見上げた。

黒崎クン?


「……」

「…一護?」




黒崎クンと目があった。
その瞳は、とっても…
優しかった。




「わりぃ、啓吾」

「へ?」

「今回はパス!」


…いかないの?


「えぇ〜っ?!!」

「また今度なっ」

そういうと、黒崎クンは浅野クンの肩をポンと軽く叩いて昇降口へと向かっていった。

「井上!」

「は、はい!」

「帰ろーぜ」

「はい!…じゃあ、浅野クン、バイバイ」

あたしも、黒崎クンを追いかけて廊下を駆けていく。

「…あ、ばいばい…」

浅野くんは、呆気にとられた顔で
あたし達が見えなくなるまで見送ってくれてた。







久々に一緒に帰れる♪
スゴく嬉しい!


黒崎クンは校門を出ると
「遠回りして帰るか?」
って
言ってくれた。

あたしは、もちろん嬉しくて
「はい!」
って答えて


2人で川辺の道を歩いてた。
2人肩を並べて歩くけど、カバンを持つ以外お互いの手は空いたまま…



「井上」

「はい?」

「カラオケ、行きたかったか?」

「え?」

「いやっ…、ほら!もし、井上が行きたかったのに断ったんだったら、悪いコトしたなぁ…って」

「ううん!大丈夫だよ!」

「本当か?」

「うん!…だって、あたしは…」

「ん?」

「黒崎クンと2人っきりに…なりたかったし…」


赤面!
あぁ〜、自分でも顔が赤いのわかります!

「…そっか、じゃあ一緒だなっ」


………黒崎クン…

サラッと胸キュンワードをおっしゃいました?

黒崎クンは、少し前に出て歩いた。
あたしからは、大きな背中姿しか見えない。


「てかな…」

顔を見せず、前を向きながら黒崎クンは話し出した。

「へ?」

「俺、今凄く後悔してる」

「…後悔?」

…なにを?

「…カラオケ行きたかったの?」

「ちげーしっ!」

…じゃあ、

……あたしと付き合ってることを…
後…悔…して?

「井上!」
「きゃっ!ハイ!」

気がついたら
しかめっ面の黒崎クンの顔のアップ!!

「…お前、今すっげーマイナス思考してたろ?」

「へ?」

「後悔って、そんなんじゃねぇからな」

「じゃ…」

「ん?」

「黒崎クンは何を後悔してるの?」

あたしの問いに、黒崎クンはあたしの頭をクシャと掴んでから

また、あたしに背を向けて歩き出した。



「…もっと早く」

「え?」

「もっと早くに俺から告ればよかったな〜って」

黒崎クンは背中しか見せてくれない。

「そしたら、もっと井上と…」

「あたしと?」

「いっぱい出かけたり……その…なんだ…」

「?」

「…いろんなコトできた…だろーし」

「……いろんなコト…って?」

「……………………ご想像にお任せします…」

「えー」

「えーっ、じゃねぇーよっ」


あれ?

「黒崎クン?」
「…」

あたしの……気のせい…
………じゃないよね…?

「黒崎ク〜ン」
「…」


「黒崎さん、や〜い」
「…」


あたしの気のせいじゃないのなら…



「黒崎クンの顔がみたいなぁ〜」
「!!」


…やっぱり
あたしの気のせいじゃない!

でも黒崎クンは、あたしに顔を見せてくれない。



だからね。
あたしは、少し後ろに下がって…

大きく深呼吸して…


「黒崎クン!行っっきまあぁ〜〜す♪」

助走をつけて

「へ?」

「とおぉ〜〜〜っ!!」

「ばっ!」

大好きな彼に飛び込んだ!!

どた〜ん!!!!!



黒崎クン…ナイスキャッチですな

「赤い顔の黒崎クン、みっけ♪」

あたしは黒崎クンの上に、馬乗り状態


遊歩道とはいえ、道のど真ん中は目立ちすぎですかね?

黒崎クンは上半身を起きあがって

「お、おまっ、何やってんだよ!俺が振り向いたからいいものをっ!…振り向かなかったら…」

「だって、黒崎クンは受け止めてくれるでしょ?」

「!?」

「黒崎クンは、あたしのこと受け止めてくれるもん♪」

「!!」

嬉しいよ…

黒崎クン…

あたしが、悩んでたこと
したいと思うこと
ドキドキすること

黒崎クンも一緒だったんだね…


だからね…

「黒崎クン…」

ほら

「顔、スゴく真っ赤ですよ」

そして…

「お前もだろーが」

2人で道のど真ん中で、顔を真っ赤にしながら、馬乗りして、倒れ込んで…

…なにやってるんだろうね?


でも、すごく幸せだよ。


「…ほら、起きようぜ」
「ねぇ?」

「ん?」

あたしは、馬乗りの状態で気になっていることを質問

「…いろんなコトって、なぁ〜に?」
「!!!!」

ありゃ?
さっきよりも黒崎クンの顔が赤くなっちゃった…

「…それは…」

「それは?………………きゃっ?!」

答えをくれる前に、馬乗りしているあたしを脇を掴んで持ち上げ、立ち上がった。

そして

「ほら!」
「へ?」

あたしの前に、手を差し出してくれた。

あたしの大好きな大きな…

「…て?」
「…手?じゃねぇーよ、ほら!」

パシッ!

大きな手があたしの手を包んでくれてる。

「いろんなコトしたいんで!」

「これが、いろんなコト?」

「これは序章!」

「…じょしょー?」

「あぁ、もー、いいから!井上は考えなくていいからっ!」



黒崎クン。
こんなにドキドキしてるのわかっちゃったかな?



あぁ〜、なんて幸せな帰り道。




まだ忙しいあたし達だけど、いっぱいいろんなコトしようね。

黒崎クン♪




えんど。

そして



『井上、明後日の24日は予定とかあるのか?』

『24日?…ないよ』

『…そっか〜…』

『?』

頭をかきながら、黒崎クンは何かを考えているみたい。

そして、急に立ち止まったかと思ったら
あたしを何かを決めた顔で見つめた。


『……』

『…くろさ』
『井上!』

『あ…、ハイ!』

『あのさ…、24日は一緒にクリスマスしねぇか?』







どうやら、あたしのドキドキは続きそうです。
 

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