果実の本棚
□切り裂き王子だって感情はある
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「ベルには、感情ないよね?」
「は?」
高級そうなソファの上で夜にもかかわらずコーヒーを飲む、ボンゴレ十代目、沢田綱吉。
その琥珀色の瞳に映るのは、部下であり恋人の切り裂き王子ベルフェゴール。
っといっても、甘い言葉をささやき合うものではなくただこうして、一緒にいるだけ。
「ししし。んなのねぇよ。」
殺気を放ちながら笑うベル。
いつもなら、「それは残念だな」と返すボンゴレ十代目は今晩だけ違っていた。
「よかった。」
心底ほっとしたようにブラックコーヒーを飲む綱吉。
窓から入ってくる冷たい夜風が二人にあたり、髪が揺れる。
「だったら、問題ないね。」
「なにが?」
意味不明なことを言い続ける綱吉にベルははてなマークしか頭に浮かばない。
しかし、綱吉は、何も言わなかった。