果実の本棚
□風邪を引いた大空「前」
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「・・ゴホッ」
何の変わりのない部屋にあるベットの上でボンゴレ十代目候補、沢田 綱吉は寝込んでいた。
彼は、風邪を引いたのだ。
*
[やっぱり・・昨日のが原因か・・」
少しつぶれた声で綱吉は言った。
昨日の帰り道、並盛町で降った雨。それも最悪な雨。傘もなく走っていた
そんな中にあった、一匹の捨て犬。薄黒くなったその元は白だったと思われる子犬は今にも死にそうだった。
そして・・・
「・・ジャケット、子犬に包ませて持って帰ってきたんだよな・・・」
びしょ濡れになってしまったYシャツ。それにもともと風邪っぽかった綱吉にとってそれは最悪なことの二つ目だった。
「・・うー・・頭、痛い・・・」
咳き込む度に痛む頭。痛む喉。だるい体。
つらい。
「ツっくーん!」
もう一回眠ろうと考えたときに響く母親の声。何かあったのだろうかと思う綱吉は、だるい体を起き上がらせた。
やはり、熱があるのか体が冷え込む。
「ツっ君、獄寺君たちがお見舞いに来てくれたわよ。」
「十代目!?お体大丈夫ですか!?」
「ツナ!?寝てろよ!さみぃだろ!!」
奈々がドアから覗き込んでいうと、急いで中に入って来たのは、綱吉に恋愛感情を抱いてる獄寺隼人と山本武だ。
獄寺はそそくさと綱吉に寄り、山本は綱吉を寝かせた。
「ハヒッ!ツナさん!大丈夫ですか!?」
「ツナ君?大丈夫?」
その2人に続くように入ってきたのは同じく恋愛感情を抱いてるハルと京子だ。
「十代目!俺、家からフルーツ持ってきたんです!!」
「あ・・ありがとう・・」
獄寺が大きい籠を取り出していう。
その中には、リンゴ、オレンジなど宝石のような色とりどりのフルーツ。こんな豪華なフルーツを用意したのは綱吉のためだ。
「お・・俺は、い・・家から寿司を持ってきたんだけど・・・やっぱダメか?」
「だ・・大丈夫だよ・・」
少し心配そうな顔をしながら寿司を出す山本。
獄寺のフルーツとはまた違い魅力的な輝きを放っている。
「ハルと京子ちゃんはおかゆを持ってきました!」
「ねぎとかしょうがとか風邪に効くものを入れたんだ。」
「う・・うん」
にっこりと笑いながらパックに入ってる黄色い卵粥を見せた。