短編夢置き場

□世界は残酷だ、でも人は
1ページ/4ページ



何度死んでも、やっぱり慣れない。
痛いものは痛いし、怖いものは怖い。


即死なら、まだマシだ。苦しんでいる時間も少ない。ひとつ前は、どうやって死んだっけ。
そうだ、バスに乗ったんだ。俺は、俺を殺すバスに乗って、そのバスは事故にあった。思ったのは、『やっぱり。』だった。あの時は出血多量で、生ぬるい自分の血の感覚が気持ち悪かったな。徐々に体が震えるほど寒くなって、視界が合わなくなって、ひどい痛みと目眩がした。そしてやがて意識を失って、俺は世界から消えた。


その前はなんだっけ。
確か、神社の井戸に足を滑らせて、だった気がする。あれは苦しかった。中々死ねなかったから足掻いたし、誰にも見付からなかったし、真っ暗で、真っ暗で、真っ暗で。苦しい。冷たい。助けて、助けて、なんて誰にも届かない声を上げた気がする。

その前は、なんだっけ。もう、何度死んだっけ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ